2005 Fiscal Year Annual Research Report
国家による民衆動員の一環としての郷学教育に関する研究
Project/Area Number |
17530557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八鍬 友広 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (80212273)
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Keywords | 郷学 / 農兵 / 学校制度 / 動員 |
Research Abstract |
本研究は、郷学教育に関して、幕末期の対外的危機に際して幕府および各藩がおこなった農兵の取り立てと関連させながら、教育史的に考察するものである。 郷学とは、幕末維新期に藩が設立もしくは設立に関与して設置された学校のことであり、城下町以外の地域における武士の教育を目的としたもののほかに、民衆を動員してその教育にあたったものがあることが知られている。本研究における対象は、このうち後者の、民衆を動員した郷学である。このような郷学と農兵取り立ての関係を検討する目的は、国家による民衆動員の構造を明らかにすることである。 以上の目的のため、郷学の設置と農兵の取り立ての両方をおこなった地域を抽出し、それらの地域に関する事例研究をおこなうことが本研究の主な計画となる。このうち平成17年度においては、郷学設置の全国的動向の調査をおこなった。まず明治期における教育史の基本資料である「日本教育史資料」から、郷学の記事をまとめると同時に、インターネットによって、郷学に関する情報を収集した。また、国立国会図書館・岐阜県立歴史資料館などの調査、および京都の番組小学校についての文献収集もおこなった。 これらの調査の結果、各地で設置された郷学に関する情報が順調に収集された。とくに、岐阜県立歴史資料館においては、義校と呼ばれる学制期の学校設置についての膨大な資料の所在を確認した。これらは、必ずしも郷学と呼べるものではないが、明治期に各地で設置された郷学と共通した性質を有するものとして重要である。
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