2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530560
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
篠原 清昭 Gifu University, 教育学部, 教授 (20162612)
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Keywords | 中国 / 学校 / 民営化 |
Research Abstract |
本研究は、近年の中国でみられる学校の民営化の現象を対象として、中国の教育改革及び学校改革の特性や問題点を考察することを目的した。大きくは学校の民営化の背景となる教育の市場化政策と学校の民営化の実態を考察した。前者の教育の市場化政策については、(1)中央政府及び地方政府による教育の市場化の政策意図を明らかにするとともに、(2)教育の市場化政策の本質といえる公教育費の構造変動、(3)教育における市場社会の成立を決定づける私教育費の構造変動を明らかにした。 後者の学校の民営化の実態については、学校の民営化を大きく学校設置主体の多様化と公立学校の民間委託化と捉え、それぞれについて事例的な考察を行った。具体的には、(1)企業による学校設置(「学校株式会社」)、(2)人民による学校設置(「打工子弟学校」)、(3)公立学校による学校設置(「校中校」)の事例研究を行った。また、公立学校の民間委託化については、中国固有な「転制学校」の事例研究を行った。 以上を通して、以下のような中国における学校の民営化の特質と問題点を明らかにした。中国における教育の市場化政策は、公教育財政の「財政抑制」と「財源開拓」を同時に達成するため、学校の民営化の方法を導入した。その学校の民営化は多様であり、それぞれの地方においてさまざまな形態(類型)を表した。しかし、その実態は保護者の経済階層格差を反映し、就学の不平等格差を拡大し、「教育における平等」を解体する問題性をもった。さらに、その「市場」は地方政府自身が「販売人」として介入する不公平な市場であり、市場としての不平等性の問題を含んでいた。
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Research Products
(2 results)