2006 Fiscal Year Annual Research Report
世界市民性と教育哲学の再構築:デューイ、カベルの民主主義批判哲学からのアプローチ
Project/Area Number |
17530565
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 直子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (20334253)
|
Keywords | 世界市民性 / 教育哲学 / デューイ / カベル / 生き方としての民主主義 / プラグマティズム / 包摂なき市民性 / 日米異文化間の対話的哲学交流 |
Research Abstract |
本研究は、世界市民性の教育の原理・実践・言語を批判的に再検討・再構築し、それと同時に教育哲学のパラダイムを再構築することを目的とする。そのための思想的アプローチとして、アメリカの哲学者、デューイとカベルの「生き方としての民主主義」の批判哲学の現代的意義を考察する。本研究は、文献解釈に終始しがちな教育哲学研究に、異文化間対話のアプローチを取り入れることによって、教育哲学という学問領域を、世界市民性の教育をめぐる実践哲学として再構築するという独創性をもつ。 研究を遂行する上で、カベルとデューイの哲学、言語哲学に造詣の深い、海外研究協力者ポール・スタンディッシュ氏(現・ロンドン大学教育研究所、教授)の協力を得た。平成17年10〜11月に続き、平成18年11月〜12月には京都大学大学院教育学研究科に外国人研究者として招聘し、本共同研究および、講演会、学生指導などに従事していただいた。同氏の協力を通じ、日英米を中心とした教育哲学者の異文化間対話の国際的ネットーワークを促進することができた。 平成18年度には、まず、5月にオレゴン大学哲学部・文学部共催のエマソン、ソロー、カベルの研究を最前線で行なう研究者の会議に招聘され、論文発表を行った。6月には、イギリス教育哲学会の会議に招聘され、論文発表を行った。8月にはマルタで開催された国際教育哲学者ネットワークの隔年次大会において、カベルとソローのアメリカ哲学が、「翻訳の哲学」としてもつ意義についての論文を発表した。ここで、2008年に京都大学での大会開催が決定した。10月には、本課題研究の総括として、カベル氏を招聘してハーバード大学において、海外協力研究者であるスタンディッシュ氏と共に「カベル会議」を企画、運営し、二つの論文を発表した。本会議の成果は、スタンディッシュ氏との共編著としてアメリカの出版社より公刊されることになっている。スタンディッシュ氏の著書、Beyond the Self : Wittgenstein, Heidegger and the limits of langttageの邦訳書『自己を超えて』(法政大学出版局出版予定)の翻訳プロジェクト、および、同氏との英語での共著、Democracy and Education from Dewey to Cavellの企画も進行した。 2007年3月10日に、アメリカ哲学学会で発表した当該研究についての英語の論文が、最優秀論文に選ばれ、Ila and John Mellow Prizeを受賞した
|
Research Products
(4 results)