2005 Fiscal Year Annual Research Report
公教育の多元化におけるソーシャル・キャピタルと学業達成の相関に関する日米比較
Project/Area Number |
17530592
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高野 良一 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (40175427)
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 信頼 / チャータースクール / 法人ボランタリズム / 学校改革 / 民主的地域主義 / シカゴ / ロサンジェルス |
Research Abstract |
研究の第1年度として、筆者のこれまでの研究と日米研究者の先行研究を整理しながら、これと平行してアメリカの現地調査を実施した。現地調査は3回実施し、本研究補助金を使用した2005年9月前半の調査は、カリフォルニア州に所在するチャータースクール、州教育行政機関や研究機関の訪問調査である。また、11月はじめにはボストンのチャータースクール2校の訪問調査、2006年3月にはシカゴの教育行政機関、研究機関、チャータースクールにインタビュー調査にはいった。こうした現地調査を踏まえて、研究論文としては、「チャータースクールの可能性の中心」を『教育のために-理論的応答』世織書房(2006年春刊行予定)に寄稿し、「『第2の波』以降におけるシカゴ学校改革とソーシャル・キャピタル」を法政大学教育学科『教育学会誌』第33号に(2006年3月刊行予定)掲載した。 前者の論文では、アメリカの公教育の多元化でもっとも典型とされるチャータースクールについて、法人ボランタリズムの現代的性格を明らかにした。と同時に、ロサンジェルスにある学業達成で実績を上げた個性的なチャータースクールを、ソーシャル・キャピタルの現実態も含めて分析した。後者の論文は、1988年に始まったシカゴ学校改革を、「第1の波」と「第2の波」以降の2つの時期にわけ、特に日本でほとんど紹介されていない「第2の波」以降の実態を考察した。日本でも市長や首長が教育改革に乗り出しているが、アメリカやシカゴでも「市長による乗っ取りtake over」とか「市長中心主義」と呼ばれる同様の動きがある。シカゴ市長と教育CEOが主導している公教育多元化を含む施策を整理し、学校への影響を考察した。と同時に、学校内部におけるソーシャル・キャピタルの影響についても事例分析した。つまり、上からと下からの双方向でシカゴ教育改革を実証したのである。
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Research Products
(2 results)