2006 Fiscal Year Annual Research Report
途上国の基礎教育援助に対するセクターワイドアプローチの有効性に関する実証的研究
Project/Area Number |
17530604
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 眞理子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (40215851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 英雄 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80133023)
礒田 正美 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (70212967)
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Keywords | セクターワイドアプローチ / 基礎教育援助 / アメリカ / スウェーデン / バングラデシュ |
Research Abstract |
国際援助コミュニティは基礎教育開発援助を1990年の「万人のための教育世界会議」から重点化し、基礎教育開発援助の新たな手法として、セクターワイドアプローチを策定した。セクターワイドアプローチは途上国のオーナーシップ、途上国と供与国のパートナーシップ、参加型意思決定プロセス、結果重視、長期的視点、財源一括方式(コモンバスケット)を基本原則とした従来のプロジェクト援助とは異なる援助方式である。セクターワイドアプローチは推進派としての世界銀行、北欧諸国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク等)、英国等、と慎重派である日本、アメリカ、ドイツ等に分かれる。 本研究はセクターワイドアプローチに異なる政策対応をするスウェーデンとアメリカを対象とし、政策対応の違いをその背景要因を確定することにより把握した。フィールドは実際にセクターワイドアプローチが実施されているバングラデシュである(初等教育開発プログラム)。スウェーデンはスウェーデン国際開発協力庁(Sida)、アメリカは米国国際開発庁(USAID)で資料収集、関係者との協議を行った。バングラデシュではセクターワイドアプローチ担当庁の初等教育大衆省初等教育局である。結果は、スウェーデンは後発途上国に対して50年以上にもわたり基礎教育援助を行ってきたにもかかわらず、効果が挙がらなかったこと、経済不況のためODA額が減少傾向にあること(財源一括方式)、途上国側に多くの障碍要因(女子規範、貧困、教育財政の逼迫、教授言語、児童労働、等)があり、これには途上国のオーナーシップによる解決が必須なこと、を事由にセクターワイドアプローチを推進していることを挙げた。アメリカはそれらを十分に認識していながら、援助政策を左右している議会・納税者に対するアメリカの援助効果を説明する責任からセクターワイドアプローチに慎重であることを説明した。
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