2005 Fiscal Year Annual Research Report
WTO加盟後の中国高等教育の対外開放性に関する実証的研究
Project/Area Number |
17530613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 豊 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00116550)
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Keywords | PTO / 中国 / 高等教育 / 対外開放度 / トゥイニング・プログラム / 遠隔教育 / 孔子学院 / 改革・開放政策 |
Research Abstract |
本研究では、GATSに盛り込まれた「教育サービス」の4つの提供方式、すなわち、(1)遠隔教育の提供、(2)外国留学の奨励、(3)海外での学校運営、(4)専門人材の流動の奨励という各側面について、まず、中国における対外開放関連政策の内容について網羅的に分析を行った。具体的には、中国政府がこの数年来公布してきた「内外協力による学校運営に関する条例」「同実施規則」をはじめとする関連法規を収集し、その翻訳、内容解析を行った。その際とくに高等教育レベルに限定した海外での学校運営、つまり外国機関の中国での大学運営と中国側の国外での大学運営構想の両面に焦点を絞って、中国政府が如何なる政策姿勢を取ってきたかの解明に焦点を絞った。 次に実態を解明するため、復旦大学、上海交通大学、大連理工大学、大連大学、広西大学、北京大学、北京師範大学、首都師範大学、清華大学の各大学を訪問し、(1)内外機関間での協議開始時期、(2)プロジェクト実施時期、(3)管理運営組織の陣容と所掌任務、(4)予算規模および必要経費分担比率(5)カリキュラム策定における内外機関の責任分担、(6)教授陣の構成、(7)卒業生の海外・外資系企業での就職を含む進路、の各項目についての情報収集を行った。あわせて、中国の大学関係者に対して、2005年11月から2006年3月にかけて、WTO加盟が中国の高等教育に与えた影響に関する質問紙による意識調査を実施し、データの収集と整理を行った。これらの現地調査およびアンケート調査の結果については現在鋭意分析作業を進めている。詳細な分析結果を得るには、今しばらくの時間が必要であるが、以下の諸点において中国的特徴が浮き彫りになった。すなわち、(1)中国の大学人は全般的にWTO加盟問題についての意識がきわめて高く、その高等教育への影響を「前向き」に捉えている。(2)海外の大学との協力については模索段階にあり、種々の手法が大学の独自的判断で実施されている。(3)対外交流策の実施においては若干の混乱もあり、教育部は一時の積極支持から、比較的慎重な姿勢へと転換している、などである。
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