2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサル・アクセス時代の高等教育質保証に関する日韓比較研究
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17530620
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
馬越 徹 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 教授 (60000030)
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Keywords | 認証評価機関 / 自己評価報告書 / 国境を越えた質保障 / 教育評価 / 研究評価 / リエゾンオフィサー |
Research Abstract |
平成17年度は本研究の初年度であるので、(1)日韓両国の大学の質保障・評価機構を訪問し、基本文献の収集および関係者へのインタビュー、(2)日韓両国の主要大学のいくつかを訪問し、評価担当部局の関係者から評価体制の構築の現状と問題点についてインタビュー調査をおこなった。初年度に明確になった知見は以下のとおりである。 1.日本の場合は、国(文部科学省)から認証を受けた複数の評価機関が評価活動を開始しているが、まだ教育評価が始まったばかりの段階であり、研究評価、分野別評価等の面での評価基準さえまだ十分な準備ができていない状態である。それに対し韓国は、4年制大学についてみると国公私立すべての大学を、ひとつの専門的評価機関(韓国大学教育協議会)がすでに10年以上にわたり評価実績を積んできており、評価の種類、評価方法の開発、評価員の訓練等の面で一日の長がある。 2.各大学の教育・研究の「質保証」に対する対応、特に自己評価および第三者評価に対応する学内組織および人材の養成・配置の面で、歴史の浅い日本の大学は韓国の大学に後れをとっている。特に、評価を自大学の「改善・向上」に結び付けていくためのシステムつくりの面で、日本の大学は不十分である。韓国は、学長を頂点に「評価と競争」を合言葉に、大学における評価文化の形成がなされつつある。 3.両国においてもっとも深刻な問題は、評価活動と財政支援のリンクの関係であり、両者がリンクすればするほど、大学間格差が顕著になり、質保障・評価本来の目的である自己改革のための評価が難しくなっている。 4.また両国とも、大学の質保障の問題は、国内問題にとどまらず、国境を越えたネットワークでの質保障についての関心が高まっている。
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Research Products
(3 results)