2005 Fiscal Year Annual Research Report
EUにおける中国系第二世代の学校適応に関する教育人類学的研究
Project/Area Number |
17530622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 助教授 (50240099)
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Keywords | 教育人類学 / 学校適応 / 中国系第二世代 / イギリス、フランス |
Research Abstract |
平成17年度の研究計画においては、中国系第二世代の学校適応の実態とその要因を明らかにするために、イギリスのロンドンにおいてのみ現地調査を行う予定であったが、フランスのパリにおいても現地調査を実施することができた。以下現地調査及び文献収集によって得られた新たな知見である。 1.EU各国における中国系社会の概要と歴史的変遷過程を文献から明らかにした後、特にイギリスとフランスにおける中国系社会の特徴を現地調査も踏まえて明らかにした。イギリスの中国系社会は、広東語が主に話され飲食業に集中し散住していること、フランスの中国系社会は方言集団ごとに職業集団が形成され職業が多様で、数地域に集住していることを特徴として指摘した。 2.イギリスにもフランスにも週末1時間半〜2時間の中国語教育を実施する補習校があり、設立及び運営母体は中国系オーガニゼーションである。イギリスの中国語の補習校は、広東語の教授がほとんどで母語教育としての役割を果たしていたのに対して、フランスの補習校は北京語の教授のみで母語は中国語方言である子が多いため、母語教育としての役割を果たしていなかった。近年、両国において、中国本土の簡体字とピンインによる北京語教育のクラス増加の傾向が強まっていることがわかった。 3.イギリスもフランスも中国系第二世代は、学校に適応し、成績が良い子が多いことが、資料からだけでなく、中国系第二世代へのインタビューからも明らかになった。その原因としては、親の教育に対する態度が熱心であること、学校で良い成績を取って自分のやりたいことに繋げたいという本人の意識の高いことを指摘した。また、イギリスの20代の第二世代女性へのインタビュー調査から、移住の経験によるジェンダーの世代的再編を明らかにした。
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Research Products
(1 results)