2005 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦後の美術教育評価における観点の推移と特徴に関する研究
Project/Area Number |
17530639
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山田 一美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80210441)
|
Keywords | 美術教育評価 / 評価観点 / 評価規準 / 評価史 / 評価論 / 作品評価 / 教育美術 / 美育文化 |
Research Abstract |
本研究は、戦後の美術教育実践家・理論家が図画工作・美術科において主張した評価の観点を総合的に追跡し、その推移・展開の中にみられる多様性・連鎖性・断絶性を描くことを目的としている。方法として、戦後発刊された雑誌『教育美術』『美育文化』における評価関連記事の中の合計約500点を選定・収集し、その中に描かれた評価の観点を描出している。未調査文献の雑誌『教育美術』記事及び『美育文化』記事(すなわち、(1)雑誌『教育美術』(複写リスト作成済の評価論関係記事)2002年-2004年63巻(5号)-65巻(13号)、(2)雑誌『美育文化』(複写リスト作成済の評価論関係記事)1995年-2004年45巻(1号)-54巻(6号)のこと。)に関しては、東京学芸大学図書館・国立国会図書館・その他大学図書館等においてリストを作成し、以下の未調査資料を中心に該当記事の複写を行っている。 現時点での成果として、指導要録などの公的な評価の観点を含めて様々な資質・能力観や評価観を代弁する多様な観点を見出し、その特徴を整理・発表することが可能となりつつある。以下はその事例である。 たとえば、『教育美術』では、よい絵・わるい絵、よい形・美しい形、創造性、想像力、感動、子ども性、個性、主題追求力、リアリズムの美、伝統継承力、感性・知性、関心・意欲、美的表現、造形力、基礎的技法・技能、美学的観点、作り出す喜び、確かな表現、自己表現、原点性、情操、手の働き、たくましい創造力、地域性、芸術性、基礎学力、豊かな人間性、遊び性、質的な個人差、子どものよさと可能性、自分らしさ、身に付く、ほほえみ、生き生き、のびのび、生きる力、自律性、空間認識力、想い、自己実現、自己表現、リアリティー、逸脱性、共感性、素材の操作力、「伸ばす」という評価基準など、多様な観点がある。 しかし、本年度の研究スケジュールの遅れを考慮し、平成18年度早々、未調査資料の補充調査を行い、成果公表を積極的に行う計画である。
|