Research Abstract |
本年度,理系教科におけるモデリングの概念規定と,概念規定に基づく教材開発に取り組み,次の成果を得た。 ●理系教科におけるモデリングの概念規定 数学科・理科・技術科における「モデリング」の概念に関する先行研究を収集・整理した結果,それぞれの教科に「モデリング」の概念が内在しており,"現実を映す鏡"という意味で共通な側面と同時に,現実に対する相対性(数学科),説明可能性(理科),実用性(技術科)など,教科の特殊性に起因する諸側面がある。特に,教科の特殊性に起因する側面が,"現実を映す鏡"という共通な側面とともに,現象の理解・説明・予測に関して相互補完的である。それゆえ,数学科,理科,技術科を理系教科として総合する場合,モデリングの概念は,人類の認識的営みにおいて,モデルの現実に対する相対性,説明可能性,実用性が相互補完的であること,すなわち,認識論的相補性を内在する必要がある。 ●概念規定に基づく教材開発:気象マーチャンダイジング 認識論的相補性を内在するモデリングの概念が顕在化するために,理系教科におけるモデリングの教材は,モデルの現実に対する相対性,説明可能性,実用性,そして,この三者の相互補完性を内包するものでなくてはならない。そこで,教材の例として,気象情報による経済活動(気象マーチャンダイジング)に着目し,気象情報と商業活動の定性的な関係とともに,定量的な関係を参考にして,数学科・理科・技術科を総合した理系教科において中学生が取り組むことが可能な教材を開発した。
|