2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530659
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
廣木 義久 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (80273746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60030441)
|
Keywords | 地学教育 / 授業研究 / 岩石 / 鉱物 / 石 / 宝石 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中学生が岩石と鉱物の違いを理解できる授業方法を開発することである。本年度の研究経過と成果は以下の通りである。 昨年度の研究から、学習者が岩石と鉱物を区別できないでいる原因のひとつが、「岩石と鉱物の"用語の構造関係"を岩石と鉱物の"物質的な構造関係"と同じものと理解してしまっているため(用語の構造理解の物質の構造理解への同一化)」であることが明らかとなった。そして、その結果から、岩石と鉱物の学習にあっては、それらの物質的な構造の学習の後、あらためて、岩石と鉱物の用語としての構造を提示し、「物質的には鉱物は岩石に含まれるが、用語としての鉱物と岩石は全く相容れないものであること」、「石英は物質としては花崗岩に含まれるが、石英はあくまでも鉱物の一種であって、岩石ではないこと」をしっかりと確認させることが肝要であることが示された。 そこで、本年度は、昨年度の研究によって示された仮説、すなわち「岩石と鉱物の物質的な構造の学習に加え、それらの用語の構造の学習をすれば、より多くの中学生が岩石と鉱物の違いを正しく理解することができる」という仮説を検証した。大阪教育大学附属池田中学校の1年生147名を統制群と実験群に分け、統制群には岩石と鉱物に関する通常の授業を行い、実験群には通常の学習に加え、岩石と鉱物の物質的な構造と用語の構造の違いの学習を組み込んだ授業を行った。そして、両群における岩石と鉱物の理解度の差を岩石名調査、コンセプトマップ調査およびアンケート調査により調べた。その結果、岩石と鉱物を正しく理解した生徒の数は実験群が71.8%、統制群が55.1%と、実験群の方が統計的に有意に多いことが分かった。このことから、従来の岩石と鉱物の物質的な構造の学習に加え、岩石と鉱物の用語の構造の学習を行うことにより、中学生の岩石と鉱物に関する理解がかなり改善されることが証明された。 多くの中学生が岩石と鉱物の違いを正しく理解できないということは古くから指摘されてきたにもかかわらず、長年、その対処法が示されることはなかった。しかし、この研究により、その解決策が立証的に提示された。
|