2005 Fiscal Year Annual Research Report
外国語の学習時に行われる発音練習の効果に関する音声学的・心理言語学的研究
Project/Area Number |
17530678
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
長井 克己 津山工業高等専門学校, 一般科目, 助教授 (20332059)
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Keywords | 発音練習 / 英語学習者 / 日本語音声 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従い,研究課題の予備調査を行った後,4つの実験を行った.うち2つの実験は現在データ整理中であるので,本欄では処理の済んだ2つの実験について報告する. 発音練習の効果を定量的に明らかにするには,学習者の母語(日本語)が持つ音声学的事実を明らかにし,対象言語(英語)との比較を視野に入れることが不可欠である.そこで実験1ではコンピュータ上で厳密に条件を統制した合成音声を用い,比較実験により求めた2音節の無意味語babaによる日本語促音知覚のための母音オンセット間の時間間隔が,3音節語bababaの後半部分では短くなることを定量的に証明した.この実験では刺激語の物理的時間長が2音節語と3音節語のいずれもが全体で600msに満たない短さのものであったため,刺激語全体が母語に関わりなく常により長く知覚されている可能性は否定できないが,そのような条件下でも3音節の刺激語においてはTOEが日本語の促音知覚のための時間的条件に影響を与えていることが確認された.母語の強固な音韻体系は無意識のうちに学習者の音韻知覚に影響を与えていることが証明され,物理的パラメータのみに依存する発音指導法の危うさを示唆することとなった. 実験2においては,刺激語のピッチを200Hzと300Hzの2種類に設定し,実験1と同様の調査を行った.2音節語babaにおいてはHHのパタンを持つ刺激語の方がLHやHLのパタンを持つ刺激語よりも促音知覚に必要なオンセット間の時間が短かった.これは自然音声を用いて行われた先行研究の結果と一部矛盾するものであることが分かり,その結果を現在検討中である. 両実験の詳細は日本音声学会の査読を経て,学会誌に掲載されている.本年度は更に実験を重ね,知覚心理学の観点から日本語を母語とする英語学習者の発音練習の持つ様々な制約を更に明らかにする予定である.
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Research Products
(2 results)