2006 Fiscal Year Annual Research Report
普遍展開環に基づく頂点作用素代数の表現論の展開とその応用
Project/Area Number |
17540012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 厚 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (20238968)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永友 清和 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (90172543)
安部 利之 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 講師 (30380215)
|
Keywords | 頂点作用素代数 / 普遍展開環 / 共形場理論 / 有限次元代数 / 森田同値 / ポアソン代数 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,主として名古屋大学の土屋昭博氏および大阪大学の永友清和氏と共同研究を行い,昨年度の研究成果を共形場理論に応用するため,カレントLie代数の屑の座標変換性について考察した。 具体的には,形式巾級数環の導分のVirasoro代数を通じた作用に基づいて,頂点作用素の変換公式を書き下し,カレントLie代数を構成する際に用いられる平坦接続の定式化を工夫することにより,この平坦接続が座標によらないことの新しい解釈を得た。また,座標変換の作用の仕方を丁寧に見ることによって,カレントLie代数の構造が座標不変であることについて,その簡明な証明を得た。 以上の研究に基づいて,適当な有限性を持つ頂点作用素代数の上の加群の有限列を考え,それらを点付き安定曲線の族に附随させて得られる余真空の空間を土屋・上野・山田の方法に従って構成し,その性質のうちのいくつかを調べて一定の結論を得た。 そのほか,昨年度の研究の副産物として,次数付きとは限らないがフィルター付きであるような頂点代数についても,その普遍展開環を考えることができるような枠組みを考案した。これは,ポアソン代数との比較から見れば,むしろ自然な構成方法であると考えられる。 また,カリフォルニア大学サンタクルズ校のC.-Y. Dong教授の来日の機会を利用し,本研究費の謝金を利用して専門知識の提供を受け,それに基づいて,頂点作用素代数の高次Zhu代数の表現からVerma型の表現を誘導するような加群の構成と,それを用いた有理性と高次Zhu代数の半単純性との関係の研究について,詳細な議論を行った。その結果,Dong教授らの構成した加群は,昨年度までの研究で我々が考察したいくつかの型の加群のうちのひとつと密接に関係していることが明確になった。この観察は,将来の研究につながっていくものと強く期待される。
|
Research Products
(1 results)