Research Abstract |
引き続き18年度も,射影多様体の埋込みの幾何学的な性質である多重割線,射影多様体を含む次数の小さな超曲面に重点をおいて研究した.特に,昨年度に引き続き,次数d,余次元eの射影多様体Xは,次数d-e+1以下の超曲面の共通部分E(X)と一致するかという問題を考察した.この問題は,regularity予想と呼ばれる未解決問題の状況証拠として,一致することが期待されている.B(X)を,Xが双有理に写されないような線形射影のXの外の中心点の集まりとし,C(X)を,Xが双有理に写されないような線形射影のX内の中心点の集まりとする.このとき,B(X)を除くと,XとE(X)は,集合として一致すること,また,B(X),C(X),射影多様体の特異点集合Sing(X)を除くと,XはE(X)と,スキームとして一致することが,昨年度の研究により示されていた.今年度は,このB(X),C(X)の構造について,第一に,B(X)の射影空間での閉包と射影多様体の交わりはSing(X)に含まれることを示した.これにより,昨年度の結果である,B(X)の次元は,Sing(X)の次元より高々1大きいことへの,別証明を与える.第二に,C(X)の次元は,Sing(X)の次元より高々2大きいことを示した.第三に,B(X),C(X)を最大次元に持つような例の構成を行った.これによって,B(X)とXを分離するような超曲面の新たな構成方法が見つかったが,この次数がd-e+1以下になるかを調べることは,次年度の重要な課題である.
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