Research Abstract |
群Gからの作用を持つ小圏(G圏と略称)を対象とし,G圏の間の弱G同変関手を射とする圏をG-Catとおき,G次数付き小圏を対象とし,その間の弱同次関手を射とする圏をG-GrCatとおく.軌道圏を取る操作(CからC/G)を関手G-Cat→G-GrCatに一般化し,スマッシュ積を取る操作(BからB#G)を関手G-GrCat→G-Catに一般化し,これらが互いに弱擬逆であることを証明した,これらの操作(関手としてではなく単なる操作)が互いに擬逆となることは,Gの作用が自由作用であるという仮定の下でCibilsとMarcosによって示されていたが,今回の結果は自由作用の仮定を必要としない.また,この結果は,有限群と単一の対象からなる圏としての環に特殊化するとCohen-Montgomery双対性を与える.すなわちこれら既存の結果を一般化するものとなっている.また,今回の結果から,G被覆関手のスマッシュ積による特徴付け,任意の作用を自由作用に弱G同変に変形する方法,および自然同値を法とする自己圏同値で生成される巡回群による軌道圏を直接構成する方法が得られる.さらに,G被覆関手F:C→Bがあるとき,Fから導かれる標準的な関手を用いて,C加群の圏とB加群の圏が,互い他を記述するという結果も与えた.この一般化された被覆理論は今後,導来同値の証明やホール代数の計算等に,扱いやすい道具として応用されるものと期待される.
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