2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中野 哲夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00217796)
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Keywords | 代数多様体 / 不変式論 / モジュライ空間 / 群作用 / 整凸多面体 / toric多様体 |
Research Abstract |
(1)点付き代数曲線のモジュライ空間の研究。与えられた数値的半群Nを持つ種数gの点付き代数曲線(の同形類)全体のなすモジュライ空間M_<g,1>^Nを、数式処理システムSingularを用いて、種数5以下で、かつ、Nの生成元の個数が4以下の場合について、具体的に方程式を用いて記述した。その結果、計算できたモジュライ空間はすべて、既約な有理的代数多様体であることを示すことができた。この結果は、preprint「On the rationality of moduli space of pointed algebraic curves of given semigroup」にまとめられた。 (2)特殊線形群の有限部分群による不変式環の研究。4次特殊線形群SL(4)の原始的有限部分群は、Blichfeldtにより、(共役を除いて)30種類あることがわかっている。研究の目標は、この30種類の群について、不変式環の生成元およびそれらの関係式を具体的に記述することである。現在までに、不変式環のHilbert(Molien)級数を計算することによって、30種類中10個だけが、その不変式環は完交環であって、残りの20個については、完交環でないことがわかった。2次元および3次元の場合は、特殊線形群の原始的有限部分群による不変式環は、すべて完交環なので、4次元では違った現象が起きていることが観察された。さらに、30種類のうち、位数の小さないくつかの群については、生成元および関係式を比較的簡単に計算することができた。のこりの群は、位数が大きく(数万〜数十万)、計算は困難であるので、工夫を考えているところである。 (3)代数的組合せ論の研究。ユークリッド空間内の整凸多面体Δおよびそのn倍の相似拡大nΔに含まれる格子点の数を数えるEhrhart多項式は、Toric多様体の理論を用いれば、Δの極(双対)多面体に伴う扇の定めるtoric多様体Xの、Δに対応する因子に関する構造層のSnapper多項式と等しい。従って、Toric多様体のコホモロジーの消滅定理と組み合わせて、Ehrhart多項式は、XのTodd類がわかれば、計算できることになる。非特異なtoric多様体のTodd類は、簡単に計算できるが、一般に特異点をもっ場合は、Todd類を具体的に表わすことは難しい(個々の例については、具体的に特異点の解消を扇の細分によって構成すれば、Todd類は計算できる)。この方面の研究は、M.Brion, R.Morelli, J.E.Pommersheimなどによって、精力的に行われている。現在のところ、彼らの研究をもとに、Todd類のよい表示方法を研究している。
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