2005 Fiscal Year Annual Research Report
USD列の基礎理論の解明とMacaulay化に関する川崎理論への応用
Project/Area Number |
17540051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
山岸 規久道 姫路獨協大学, 経済情報学部, 教授 (10200601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 健 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (40301410)
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Keywords | 列性質 / USD列 / Macaulay化 / 川崎理論 / Hilbert係数 / Sally加群 / Northcottの不等式 / 成田の正定値性定理 |
Research Abstract |
今年度は本共同研究4年間の初年度であるため,Macaulay化に関するこれまでの先行研究を基礎から見直すとともに技術的な面からも細部に渡って再検討する事を作業目標とした。また,Macaulay化に関する川崎理論の中で大変重要な概念であるP-standard列はUSD列と極めて近い列性質である事から,本共同研究ではUSD列の基礎理論の解明とその応用の可能性を探る事も同時に作業目標としている。しかしながら,一般論を構築する前の準備段階の作業として,Buchsbaum環の中では極大準素イデアルがどのような振る舞いを見せるかを探る必要があった為,そのHilbert係数の挙動を調査してみることとした。 極大準素イデアルのHilbert係数に関する研究は,これまでCohen-Macaulay環について多くの先行研究がある。特に,Northcottの不等式(1960年)や成田の正定値性定理(1963年)がよく知られた古典論である。近年,この古典的な結果をBuchsbaum環に拡張する事が試みられていて,少しずつ成果が挙がって来ている。まず,Northcottの不等式の一般化は後藤四郎氏と西田康二氏(2003年)によりなされ,次いで,A.Corso氏によl Sally加群を用いた理論が展開されるとともにFLC環への拡張が試みられた。ただ,Corso氏の議論には不正確な点が多くて試みは不完全なままに終わっている。そこで,我々はこの議論を正確に展開することを試み満足すべき成果を得た。これまでの研究で明らかとなった点は,Sally加群はHilbert係数の間に成立する関係を極めて合理的に意義づける加群である,と言う事である。従って,列性質の解明においてももっと深い影響をもたらすものとの心証を得ている。次に,我々は成田の正定値性定理の一般化を試みた。先ず,2次元を扱い,次にそれを一般次元に拡張した。これらの成果は第27回可換環論シンポジウムにおいて,演題「On Sally modules of m-primary ideals in Buchsbaum rings」(同報告集112-116ページ参照)の中で発表した。現在,これまでの研究成果をまとめ学術雑誌に論文発表するため準備を鋭意進めているところである。
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