2008 Fiscal Year Annual Research Report
4次元微分位相幾何学へのRicci Flowの応用
Project/Area Number |
17540063
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久我 健一 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (30186374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 尚志 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40125901)
杉山 健一 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90206441)
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Keywords | 微分位相幾何学 / 低次元多様体 / Ricciフロー |
Research Abstract |
4次元多様体でのRicci流の振る舞いについて具体的計算を繰り返したが、現時点で3次元におけるようなIvey-Hamiltonの定理と同様の役割を果たす結果の見通しは得られていない。これは初期計量に対してRicci流の挙動が不安定に変化するためである。しかし、Ricci流が3,4次元多様体のトポロジーと密接な関連を持っていることが経験的にも蓄積されてきた。今年度受理された論文は、従ってRicci流の4次元トポロジーそのものとの関連を得たものではないが、ひとつは4次元球面内のトーラス結び目に関してアレクサンダーのカンドル不変量を網羅的に計算したものである。これは量子不変量とも関連し、4次元多様体の不変量とRicci流との関連が近年序々に解明されつつあることを考えると、将来的にトーラス結び目等に特異な初期計量を与えてRicci流を考えるなどした場合の基礎資料として、意味のある結果となりうる。もうひとつの論文は3次元双曲多様体と、BSD予想に関するものである。すなわち、数論におけるBSD予想が3次元双曲多様体における自然がアナロジーが成立するという結果である。そもそもRicci流は3次元においては一般的には双曲構造に収束するので、Ricci流が数論的類似の意味をもつ可能性を示唆していて、この意味でも意味のある結果である。Ricci流とSeiberg-Witten不変量の関係が指摘されいる現在、双曲体積に関する体積予想を通じて、Ricci流、量子不変量、数論的類似などが関連する可能性を示唆する結果である。
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Research Products
(2 results)