2005 Fiscal Year Annual Research Report
定スカラー曲率Kahler計量と幾何学的不変式論における偏極代数多様体の安定性
Project/Area Number |
17540069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中川 泰宏 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90250662)
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Keywords | Einstein・Kahler計量 / 幾何学的不変式論 / 安定性 / 二木指標 / Kahler・Ricciソリトン |
Research Abstract |
これまでの研究に引続き,偏極代数多様体の幾何学的不変式論の意味における安定性と定スカラー曲率Kahler計量の存在とが同値になるという予想,いわゆる「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin対応」を中心に研究した.この予想をFano多様体と呼ばれる,反標準直線束が豊富な射影的代数多様体の場合に考えると,安定性とEinstein・Kahler計量の存在の同値性の問題となる. 特に今年度は,「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin対応」において,重要な役割を演じるであろうと予想されているKエネルギーの観点から,Einstein・Kahler計量の一般化である,Kahler・Ricciソリトンを考察した.Einstein・Kahler計量の存在に対しては,二木指標と呼ばれる障害が存在することが知られているが,Kahler・Ricciソリトンの存在に対しても,二木指標は一般化されることが解っている.今年度の研究により,Kahler・Ricciソリトンの存在に対する障害は,反標準類の同変Chern指標として解釈されることがわかった.この結果は,「二木指標が反標準類の同変第一Chern類の累乗として解釈できる」という二木・森田の結果の一般化と見ることもできる. また,Kahler・RicciソリトンはKahler類が反標準類の場合に相当するが,一般のKahler類の場合にKahler・Ricciソリトンを一般化しようという試みについても考察した.現在のところ,定義する方程式は一般化することができたという段階である.存在に対する障害やKエネルギーの一般化は今後の課題である.
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