Research Abstract |
本年度の研究は平成17年度の研究成果を踏まえ,変換群論的なBorsuk-Ulam型定理を,同変写像および等変写像(isovariant map)の「存在・非存在問題」ととらえ,より詳細な研究を行った. 分担者の原は,同変写像のBorsuk-Ulam型定理を研究した.特に前年度の研究で構築したイデアル値指数に関する結果を適用し,ある種の巡回群が自由に作用する2次元閉曲面の間の同変写像を考察し,同変写像の存在・非存在に関する種々の結果を得た.これらは,従来のBorsuk-Ulamの定理のひとつの一般化ととらえられる. 研究代表者の長崎は,同変写像(isovariant map)に関するBorsuk-Ulam型定理を研究した.18年度には(a)等変Borsuk-Ulamの定理の拡張,(b)等変Borsuk-Ulamの定理の逆問題という2つの方向で研究を行った,(a)に関しては,従来の表現球面の間の等変写像で研究を球面以外のものにまで拡張することを目指した.十分に一般的な空間への拡張は引き続き研究が必要だが,18年度においては,定義域側の空間が自由作用をもつホモロジー球面の場合に,等変Borsuk-Ulamの定理が成り立つことを示した,次に,(b)に関する問題は,等変写像の存在性についての問題ととらえられる.そこでG空間が表現球面の場合を考え,等変写像の存在問題を考察した.その結果,ある種の巡回群の作用に関して,等変Borsuk-Ulam型定理の不等式をみたしているという条件下で,等変写像が常に在性することを示した.同時に等変写像の等変ホモトピー類の分類問題も考察した,その際,大きな役割を果たしたのが多重写像度である.等変ホモトピーが存在するための障害がこの多重写像度で記述できることを示した.その結果,定義域側の空間が巡回群の自由作用をもつホモロジー球面,値域側の空間が任意の複素表現球面の場合に等変ホモトピー類の分類に成功した.
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