2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540095
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 助教授 (30268974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
落合 啓之 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 教授 (90214163)
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Keywords | シンプレクティック商 / 余随伴軌道 / 体積 / 既約表現 / テンソル積 / 漸近的次元 |
Research Abstract |
研究代表者高倉は、コンパクト単純リー群の余随伴軌道の直積からシンプレクティック商として得られる多様体の不変量について研究を行なった(鈴木太郎との共同研究)。例えばそのシンプレクティック体積は、ある種のコホモロジー交叉積の母関数とみなすことができる。そしてそれは、既約表現のテンソル積の不変部分空間の漸近的次元と本質的に等しい。 さて、任意の単連結コンパクト単純リー群に対して上記の不変量の表す公式として、2通りのもの(有限和公式・無限和公式)が存在する。有限和公式は昨年度得られたのであるが、そこでは最高ウエイトが正則であると仮定していた。それ以外の場合については、ワイルの指標公式の再検討および超幾何積分の評価が本質的であることが明らかになったものの、依然今後の課題として残った。なお、本年度発表した3次の特殊ユニタリ群に対する論文では、階数が小さいため詳細な議論が可能であり、上記の仮定がみたされない場合も含めて明示的な公式が与えられている。一方、無限和公式は数年前に得られていたが、その導出には二重の極限に由来する微妙な困難が存在することが判明した。そこで本年度、最高ウエイトが正則と仮定した上で、無限和公式の厳密な証明を与えた。 さらに、同一の既約表現に対する対称テンソル積・交代テンソル積における不変部分空間の漸近的次元についても、類似の公式が存在することがわかった。特に後者の幾何学的意味は今のところ不明だが、より統一的な見地を示唆する結果と考えられる。 この他に、研究分担者・落合は、多重ゼータ値の線形関係式の対称性についての結果(井原健太郎との共同研究)、双曲3次元錐多様体上の調和ベクトル場の超幾何関数による記述(藤井道彦との共同研究)、擬射影平面の数論構造についての結果(加藤文元との共同研究)、ミルナーの多重ガンマ関数についての結果(黒川信重との共同研究)、を本年度発表した。
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Research Products
(8 results)