2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
茂手木 公彦 日本大学, 文理学部, 教授 (40219978)
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Keywords | Deh surgery / Seifert fiber space / lens space / hyperbolic knot / closed geodesic / network |
Research Abstract |
3次元球面内の結び目Kに対し、その管状近傍Vをいったん取り除き、再び別な方法でVを貼り合わせる操作を結び目K上のDehn手術と呼ぶ。Moserはトーラス結び目上のDehn手術を分類し、Dehn手術でレンズ空間、Seifertファイバー空間を生み出す結び目はトーラス結び目に限るだろうという予想を提出した。その後、Fintushel-Sternによる例をはじめlens空間やSeifertファイバー空間を生み出す双曲結び目上のDehn手術の例が多数発見された。トーラス結び目のDehn手術でレンズ空間やSeifertファイバー空間が生じる様子は、トーラス結び目の外部がSeifertファイブレーションをもつので、Dehn手術でそのSeifertファイブレーションがどのように拡張されるかを見ることによって自然な説明が可能である。それでは、双曲結び目のDehn手術でSeifertファイバー空間が生じる現象はどのように説明されるのだろうか? 本研究ではSeifert手術を個別に調べるのではなく、Seifert手術全体の集合を考え、それらが構成するネットワークを通じて、Seifert手術間の相互の関係に着目し、Seifert手術を大域的に理解することを目標にしている。3次元球面内の結び目Kと整数mの組に対して、Kをm-手術して得られた多様体がSeifertファイバー空間のとき、組(K, m)をSeifert surgeryと呼ぶ。また、Seifert surgery (K, m)に対し、次の性質をみたす結び目cをSeifert surgery (K, m)のseiferterと呼ぶ。(1)cはS^3内の自明な結び目、(2)cは手術後のSeifertファイバー空間内のあるSeifertファイブレーションに関してファイバーになる。2つのSeifert surgeryがあるseiferterのtwistでうつりあうとき、それらを辺でつなぐことによってSeifert surgeryからなるネットワークを構成することができる。ネットワークとしてSeifert手術を研究していくという枠組みでは、双曲結び目K上のSeifert surgery(K, m)からトーラス結び目T上のSeifert surgery (T, m')へのネットワーク内での道を見つけることができればこの道をたどることによりSeifert surgery (K, m)に対する自然な説明が得られることになる。これまでの研究でネットワークの基本的な構造が解明されており、さらに結び目Kが双曲結び目のときSeifert surgery (K, m)とseiferter cが定める1次元格子においては有限個のSeifert surgeryを除き、cが結び目補空間の双曲構造に関する最短測地線になるという興味深い事実を証明することができた。 現在、Seifert surgeryのネットワークの中で、特にlens surgeryからなる部分ネットワークについて詳しく調べ、その全体像が明らかになりつつある。今後も、ネットワークという新しい観点からSeifert手術、lens手術をとらえ、その全体像の解明を目指して研究を進めていく。
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