2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
南 就将 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10183964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 史彦 高知大学, 理学部, 助教授 (10291246)
三河 寛 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (10219602)
籠屋 恵嗣 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助手 (40323258)
牧野 浩典 東海大学, 電子情報学部, 講師 (40338786)
笠原 勇二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60108975)
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Keywords | Galton-Watson樹形図 / 局所極限定理 / 分枝過程 / 準位統計 / 量子カオス / unfolding |
Research Abstract |
今年度の主な研究実績は次のとおりである。 1)離散時間分枝過程の軌跡として得られるランダムな樹形図(Galton-Watson tree)の頂点の総数がnであるという条件の下で、子供の数が0,1,2,であるような頂点の個数の結合分布を求め、nを大きくしたときの極限分布を調べると、正規分布に収束することは今までの研究ですでにわかっていた。今年度はさらに進んで、対応する局所極限定理を証明した。その際、極限の正規分布が退化しないという条件に加えて、もう一つ付加的な条件が必要になった。この条件の定式化が最良のものであるかどうかはまだはっきりしないが、条件を満たさず、定理の主張も成立せしめない分枝過程の例があるので、条件自体は本質的なものと考えられる。 2)量子系のエネルギー準位統計を考察するにあたって、量子ハミルトニアンの固有値の列が漸近的に一様分布するようにスペクトルの歪みを補正する操作をunfoldingという。理論物理の文献では、この操作の数学的定式化が必ずしも明確にされていない。今年度の研究ではunfoldingを、その物理的意味から一歩離れて、パラメータに依存する数列の変形ととらえた上で、仮に第1種、第2種と名づけた2つの形のunfoldingを定義した。量子カオスの研究者の間では第1種のunfoldingに近いものが広く行なわれているが、Berry-Taborのアイディアに基づく第2種のunfoldingにも再考の余地があると思う。2種のunfoldingの間の一般的な関係はまだわからないが、パラメータに依存するいくつかの量子ハミルトニアンのスペクトルに具体的にこれらを適用してみると、第2種のunfoldingによる準位統計の方が数学の問題としては相対的に容易になる場合がある。
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