2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540100
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南 就将 Keio University, 医学部, 教授 (10183964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 由紀 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30286645)
中野 史彦 高知大学, 理学部, 准教授 (10291246)
上木 直昌 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 准教授 (80211069)
牧野 浩典 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (40338786)
永尾 太郎 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (10263196)
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Keywords | 数理物理 / 確率論 / 準位統計 / ランダム作用素 / 量子カオス |
Research Abstract |
1)ランダムな樹形図に対する確率モデルの構成に関する一般的な定理を得た。まず、R.otter(1949)に従って樹形図の空間に"neighborhood"とよばれる部分集合の族Nを考える。次にN上の集合関数が「整合的(consistent)であるという条件を定式化した。この条件を満たす集合関数はNが生成する有限加法族に自然に拡張され、Nがコンパクトな集合族であることから Nにより生成される。加法族に確率測度として一意に拡張される。次に各頂点が、ある完備可分距離空間に値をとる「印(mark)」を持つような樹形図(marked trees)の空間上に、同様の整合性条件を満たす集合関数を考え、それがMarked treesの空間上の確率測度として一意に拡張されることを証明した。本研究において得られたこれらの定理は、確率過程の基礎理論においてよく知られたコルモゴロフの拡張定理に該当する一般性を持つものである。また、樹形図を構成する粒子の「印」(あるいはタイプ)としては、粒の年齢、空間的位置、内部構造を表すパラメータなど、あらゆるものを考えることができる。この結果はランダム行列のトレースの期待値の評価などに応用できるのではないかと考えている。 2)分担者牧野浩典氏との共同研究として、互いに相互作用のない多く部分系に分かれる量子系に対する準位統計を考察した。このようなハミルトニアンのスペクトルは互いに独立な点過程の重ねあわせとなり、部分系への分割が細かくなった極限では無限分解可能点過程となる。このとき準位の間隔分布としては、典型的なポアソン過程に見られる指数分布以外に2種の異なるタイプがあり得ることが牧野-田崎(2003)により指摘されていたが、今回の研究ではそれらのタイプに対応する「準位数分散」(number variance)を計算し、準位の長距離相関についてポアソンの場合との違いを明らかにした。
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