2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540120
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 卓也 愛媛大学, 理学部, 教授 (00163832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 貴 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40114516)
坂口 茂 愛媛大学, 理学部, 教授 (50215620)
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Keywords | free boundary problem / Hadamard variation / convergence analysis |
Research Abstract |
今年度は、ダム問題と呼ばれる自由境界問題に対する反復解法の収束についての解析を行った。ダム問題は、楕円型の自由境界問題の基本的なもので、多くの教科書で取り扱われ、解の存在一意性はかなり一般的な場合に証明されている。しかし、それに対する最も直感的な数値解法である反復解法(試行自由境界法などと呼ばれている)に対する数学的な解析は驚くほど未整備で、これまで厳密な結果はほとんどなかった。次の論文 Takashi Suzuki, Takuya Tsuchiya, Convergence analysis of trial free boundary methods for the two-dimensional filtration problem, Numerische Mathematik,} 100 (2005), 537--564 で、2次元のダム問題でダムの形状が比較的単純な場合は、等角写像を用いて問題は単位円B上の変分問題として再定式化されることを指摘した。さらに、その変分問題の任意の極小化列(汎関数の値を徐々に極小値に近づけていくような領域の列)から一様収束する部分列を取り出せる事を示した。この際、Plateau問題の理論で使われる補題(Courant-Lesbesgueの補題)を使用した。同様な手法で、ダム問題の反復解法において「離散化した汎関数の最小値をとるような近似領域をうまく構成できるならば」、離散の精度をあげるにつれてその近似領域は真の領域に一様収束することを示した。いままで、近似領域の列の真の領域への収束は証明されていなかったので、これは少なくとも理論的には大きな前進であるといえる。 もちろん問題はこれですべて解決されたわけではない。離散化された汎関数の最小値をとるような近似領域へ収束するようなうまい反復を定義するという大きな問題が残っている。この問題の解決には、領域の摂動による汎関数の変分(このような領域に依存した量に対する領域の摂動による変分をHadamard変分という)を計算する必要がある。現在、論文[2]で定義された領域汎関数のHadamard変分を計算しつつある。(2006年3月20日現在、第一変分は計算できた。今は第二変分を計算している。)
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Research Products
(2 results)