2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540134
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
西岡 國雄 中央大学, 商学部, 教授 (60101078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 統夫 中央大学, 商学部, 教授 (60087020)
佐藤 定夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (10170747)
鷲見 直哉 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (50301411)
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Keywords | 新古典派経済成長理論 / Per-capita capital stock / 成長率 / The stochastic Solow equation / 境界を持つ拡散過程 / 自然境界 / Inada条件をみたす生産関数 / Inada条件をみたさない生産関数 |
Research Abstract |
景気循環は経済成長によって駆動される.そこで今年度は,昨年度に引き続き,経済成長を確率微分方程式で記述し、その漸近挙動を調べた. 具体的には,経済指標としてper-capita capital stock k(t,w)を選び,それをMerton(1975)の方法で定式化した.するとk(t,w)は区間(0,∞)上の拡散過程となる.Feller(1954)、Ito-MacKean(1965)、Nishioka(1976)などにより既に詳しく調べられた1次元拡散過程の結果を応用し、k(t,w)の漸近挙動を知る事ができた. すなわち資本増加時の摩擦係数をr、またn、σを人口増加率とその確率変動(=分散)とし、 θ=r+n-σ^2/2 とおく. I.生産関数fがk=0でInada条件をみたすとき、 (i)θ>0⇒確率1でlim_<t→∞>k(t,w)=∞、 (ii)θ≧0⇒k(t,w)は再帰的,つまり"どんなに時間が経過しても、経済は永遠に変動し続ける".(この結論は、経済成長方程式に確率項を導入しなければ得られない.) II.生産関数fがk(t,w)=0でInada条件をみたさないとき、sを貯蓄率とする. (i)θ>0⇒確率1でlim_<t→∞>k(t,w)=∞、 (ii)0≦θ≦sf'(0)⇒k(t,w)は再帰的、 (iii)0<θ⇒確率1でlim_<t→∞>k(t、w)=0、(この結論は、Inada条件を仮定した1では得られない.例えば人口増加率が大きい場合がこのケースに合致する.) 次に,実際の経済データからθを算出することにより,経済成長率の理論確率分布を数値解析により求めた.そして,現実に達成された成長率は,IとIIの確率分布でどちらか大きいかを比較して設定IとIIの妥当性を検証し,概ねIIが妥当との結論を得た.
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