2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17540161
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
牧野 哲 山口大学, 工学部, 教授 (00131376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 真理 山口大学, 工学部, 助教授 (40201389)
松野 好雅 山口大学, 工学部, 教授 (30190490)
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Keywords | 気体力学 / 非線型波動方程式 / 周期解 / 星の内部構造 |
Research Abstract |
終局の研究目標は、自己重力下で球対称運動する気体星について、エムデン方程式を解いて得られる平衡解のまわりの周期解の存在をあきらかにし、もって脈動星のモデルを構築することであった。そのてはじめとして、今年度では、1次元運動する気体を一定の重力下で考え、その平衡解のまわりの周期解の存在を考察した。しかし、このように問題を単純化しても、平衡解がベッセル関数であらわに表現しうるとはいえ、摂動のみたす準線型波動方程式の係数は、平衡解が真空と接することにより、singularityをもつこととなり、解析がたいへんむつかしいことがわかった。時間的局所解の存在をまず確保しようとして、いろいろの試みをしたが、たとえば、逐次近似で解を構成しようとすると、近似のたびにregularityが1階づつ落ちるために、通常の不動点定理がつかえない。Nash-Moser定理の適用を試みているが、いまだ成功していない。そこで、まず、重力を無視して、有限区間に閉じ込められた外力のない気体の運動を考えて、密度一定という平衡解のまわりの周期解の存在を考察した。これについては、線形化近似でえられる時間周期解を第1近似とする非線型問題の解の構成に成功した。結果はon lineではJournal of Differential Equationsに公開済みである。解の存在時間は初期値が小さいほど大きいとはいえ、有限であり、境界をこめて連続的2回微分可能な時間周期解は自明なものをのぞき存在しないことがわかった。したがって、この問題のばあいも、周期解は弱解の範疇で探すべきである。このような周期解の存在問題については、いままでのところ、半線型波動方程式についての研究しかない。われわれの問題は準線型であるが、半線型ではないので、既存の理論をそのまま適用するわけにはいかない。そこで、げんざい、半線型方程式についての過去の研究成果を慎重に検討しながら、すでに開発されているさまざまな手法を準線型の気体の動力学の問題に適用する途を探っている。半線型問題では、周期解の研究において、問題を変分法で定式化し、線型問題の解の空間とその直交補空間に方程式塗分解し、いわゆるLyapunov-Schmidtの方法を適用するのが常套手段となっている。しかし、準線型方程式においては、空間方向への1階導関数が非線型関数の引き数にはいるため、解の空間をH^1空間で考えたのではregularityがたりず、このことが、じゅうらいの半線型方程式の周期解問題のあつかいの直接的適用を困難にしている。しかし、この点は、さらに集中的にけんきゅうすることにより、来年度の遅くない時期に一定の成果が得られると考えている。
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Research Products
(3 results)