2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540164
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
内山 充 Shimane University, 総合理工学部, 教授 (60112273)
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Keywords | 作用素関数 / 固有値 / 直交多項式 / Majorization |
Research Abstract |
実軸の区間Iで定義された連続関数f(t)について、Iにスペクトルを持つすべての有界自己共役作用素(あるいは行列)Xに対してf(X)が定義できる。この作用素関数X→f(X)を作用素順序と固有値分布の観点から解析し、直交多項式の研究に新方向を資することが研究の目的であった。 f(0)=0である正の凹関数fについて、f(X+Y)の固有値の大きいほうからk番目までの和はf(X)+f(Y)のそれよりも小さいことを示していた。今年度はf(X-Y)とf(X)-f(Y)の固有値を比較することが目標であった。fが作用素単調関数の場合には北大名誉教授の安藤氏の次の有名な結果があるf(X-Y)の固有値の大きいほうからk番目までの和はf(X)-f(Y)のそれよりも大きい。 これを一般の凹関数fについて示すことを目標としていた。残念ながら、これに関しては誇るべき良い結果を得ることができなかった。しかし、すでに論文で発表されていた幾つかの具体的な作用素単調関数について、それを統一的に構築する方法を見つけて発表した。それは、専門雑誌Linear Alg.And Applicationで印刷中である。 また、線形作用素方程式をフレシェ微分の観点から研究し、インドのBhatia統計研究所教授と共同発表し、印刷中である。多項式の零点と行列多項式の固有値との関連については新しい結果を得て、基礎固めをしている段階である。 メキシコで開催された "15-th Conference of Linear Alg.Soc." ではこれまでの成果を講演した。 そして、京都大学数理解析研究所での研究集会、あるいは、日本数学会に出席して座長としても運営に尽くした。
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