2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子場と結合したシュレディンガー作用素のスペクトルと有効質量の研究
Project/Area Number |
17540181
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣島 文生 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (00330358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 恵一 摂南大学, 工学部, 教授 (50268489)
寺本 恵昭 摂南大学, 工学部, 助教授 (40237011)
島田 伸一 摂南大学, 工学部, 助教授 (40196481)
廣川 真男 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (70282788)
松井 卓 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (50199733)
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Keywords | 場の量子論 / 基底状態 / スペクトル散乱理論 / くりこみ群 / 有効質量 / 経路空間上のギブス測度 / 汎関数積分 / スペクトル解析 |
Research Abstract |
平成18年度の研究実施計画は以下の(1),(2),(3),(4)であった。交付申請書には夫々,(d)-(2),(a)-(2),(e),(c)-(2)と番号が割り振られている。 (1)熱半群を汎函数積分表示し繰り込み理論を汎関数積分の観点から考察する。(2)紫外切断を除去したnelson模型の熱半群の正値性を示す。(3)ファイバーハミルトニアンの解析を行う。(4)2重確率積分の解析を行う。 (3)について:ファイバーハミルトニアンが各ファイバー毎に結合定数などに寄らずに自己共役作用素であることを示した。さらにその自己共役作用素が作る1径数熱半群を核型空間上のガウス測度と連続空間上のウイナー測度の積測度を使って汎函数積分表示することに成功した。その結果,基底状態の一意性を示すことが出来た。また非自明なエネルギー不等式も得ることが出来た。これらの結果はFiber Hamiltonians in nonrelativistic QEDとしてまとめられ,国際誌に掲載予定である。 (4)について:Pauli-Fierz模型のようなミニマル結合と呼ばれる相互作用には2重確率積分が自然に現れる。Volker Betz氏(Warwick大・イギリス)との共同研究でこの2重確率積分をもった測度がタイト(tight)であることを,基底状態の存在を仮定して示した。この結果はExistence of Gibbs measures with double stochastic integralsとして,Volker Betz氏と共同で現在執筆中である。 (1),(2)について:Nelson模型に対して現在考察中である。(1),(2)の問題を考察する中で多体Nelson模型のEnhanced bindingを示すことができた。Ruelle-Simon partition関数,Griesemer-Lieb-Loss(Inv.Math.45,2001)の結果と双極子不等式を駆使して示すことが出来た。この結果は佐々木格氏(北大)との共著でEnhanced binding for N particle system interacting with a scalar field Iとしてまとめられ現在,国際誌に投稿中である。 その他:最近(1)-(4)の研究を通してスピン1/2を含んだハミルトニアンのスカラーによる汎関数積分表示を得ることが出来た。この結果はFunctional integral representation of nonrelativistic QED with spin 1/2としてまとめられ現在国際誌に投稿準備中である。 以上の結果は京大数理研の研究集会(2月開催),沖縄で開催された作用素論シンポ(7月),東北大学談話会(11月),各種のセミナーなどで発表した。また(4)についてはWarwick大学でBetz氏と研究打ち合わせを実施し研究成果の一部を得ることが出来た。
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