2006 Fiscal Year Annual Research Report
非可換確率空間における独立性の変形と変形フォック空間に関する研究
Project/Area Number |
17540190
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
吉田 裕亮 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (10220667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 裕子 お茶の水女子大学, 理学部, アソシエイトフェロー (10337462)
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Keywords | 非可換確率論 / 作用素環 / 変形量子化 / 量子確率論 / 変形合成積 |
Research Abstract |
本研究では、非可換(量子)確率空間における、新たな変形独立性の概念を基に、確率空間の変形量子化の可能性に関する研究が大きな目的である。本研究においては独立性の変形をモーメント・キュムラント関係式の変形を行うのと等価であると考えることが鍵となる。モーメント・キュムラント関係式は、順序集合の分割統計の理論とも関連が深い。本研究においては、新たに構成された変形独立性を実現するモデルをフォック空間の変形で与えることも重要であり、変形合成積の正値性等の議論もこの変形フォック空間上で解析することが可能となる。平成18年度は、変形フォック空間上の重要な確率変数であるポアソン型確率変数と、その高次モーメントを記述する分割統計の組合せ論への応用を行った。その結果、以前に構成した2変数変形フォック空間を用いて、今まで導出が煩雑であった非交差分割上の分割統計の数え上げ多項式の母関数の新たな導出方法を与え、今まで知られていた幾つかの分割統計の補間を与えることも可能となった。この成果は国際的学術雑誌に投稿し採択され、現在印刷中である。さらに、今年度は自由フィッシャー情報量に関しての研究動向を調査し、変形確率空間におけるフィッシャー情報量の導入の可能性に関しても調査した。 また本研究に関連して、昨夏には欧州の関連研究者との研究討議ならびコロキュームでの出席発表のためにも、補助金を活用した。さらに、国内の自由無限分解可能分布などの分布論ならびに確率過程関連の研究動向の把握には、分担者の矢野が中心に行い、確率論的解析のための研究情報の収集と基礎固めを行った。
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