2007 Fiscal Year Annual Research Report
コリオリ力を入れた粘性流体方程式の気象現象的視点からの特異摂動による解析
Project/Area Number |
17540201
|
Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
松井 伸也 Hokkaido Information University, 情報メディア学部, 教授 (50219367)
|
Keywords | Navier-Stokes方程式 / コリオリカ / 特異摂動 / テイラー・プラウドマンの定理 |
Research Abstract |
平成19年度の研究実績は以下の通りである。 3次元定常問題の解の解析を行った。具体的には、Coriolis力が無限に大きくなるとき、流速ベクトルがどのように変化するかを解析した。これは研究目標である特異摂動問題の部分的な解決である。次のような結果を得た。ただし考えた外力はL^2である。 Coriolis力の項をもつ3次元定常Navier-Stokes問題をPoincareの不等式が成立する所謂Poincare領域で考えた場合、おおむね解(速度場)の一意性は成立しない。しかしCoriolis力の大きさ(角速度/2)を無限に漸近させると、ある回転軸(垂直)の方向には依存しないベクトル場(特異摂動場とよぶ)に収束する。これは気象学ではテイラー・プラウドマンの定理とよばれ、この厳密な証明を与えたことになる。なお収束はH^2での強収束であり、解の垂直方向微分のL^2ノルムは、Coriolis力の大きさの-1乗のオーダーで0に収束する。さらに領域が単純な場合は、速度場の垂直方向の平均が特異摂動場に収束することも分かり、Coriolis力が大きい場合の速度場の様相は、垂直方向の平均と考えてかまわないという気象学の常識を裏付けたことになろう。 この特異摂動場は、垂直方向の平均として特徴づけられるので、いかなる方程式でモデル化出来るかが分からない。この特異摂動場を表すモデル方程式を探るため、解の漸近展開を試みたいと思う。
|
Research Products
(3 results)