2007 Fiscal Year Annual Research Report
画像処理問題に於けるFracture Propagationの解析
Project/Area Number |
17540203
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山浦 義彦 Nihon University, 文理学部, 准教授 (90255597)
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Keywords | Gamma-convergence / Gradient Flow / Minimizing Movement |
Research Abstract |
研究課題である画像処理問題に於けるFracture Propagationの解析を行うため、準備段階としてこれまで研究対象としてきたもうひとつのFractureを生じる変分問題である自由境界問題をテーマとして、以下に述べる主に次の二つのことについて論文にまとめました: [1]エネルギー汎関数のガンマ収束に伴う自由境界の収束性 [2]Alt-Caffarelliタイプの汎関数に対するエネルギー勾配流 [1]エネルギー汎関数がガンマ収束するとき、近似エネルギー汎関数の最小化関数に対するFracture(この場合自由境界)がどのような意味で被エネルギー汎関数の最小化関数のFractureに収束するかについて調べました。そもそもエネルギー汎関数がガンマ収束する際に、Fractureの収束性については一般的結果は知られておりません。そればかりか、近似汎関数の形にある工夫を施さないと、「近似」と呼べるような収束性を持たないことも、1次元問題の場合に精密に計算しました。この論文の結果によりエネルギー汎関数の特に特異関数項の近似として特異性の高い関数を選ぶことによって、調べたいFractureの存在と非存在についての十分条件が得られることがわかりました。本結果は定常状態でのFractureの解析という位置づけになりますが,研究課題にもある「Fracture Propagation」の解析を,当手法に加えて時間変数の差分化を合成した手法によって試みる際に、Fractureの解析に役立つものと期待されます。 [2]研究課題の研究において、その特別かつ物理現象的にみて重要なエネルギー汎関数に対する勾配流を手がかりにするのが有効であると考えられます。そして勾配流をどのように構成するか、に対してはいくつかの手法が知られています。ここではその1つの手法である「近似手法」を採用して1次元問題の場合に対してエネルギー勾配流を構成しました。汎関数の特異項を関数近似するとともに、扱う関数空間を区分的線形関数の空間とすることにより、常微分方程式論に於けるCauchy-Lipschitz法が適用可能になる、というのがこの手法の本質的な部分です。本手法は、イタリア学派によって他の問題に対して試みられたものです。本結果について、イタリアスコーラノルマーレのLuigi Ambrosio教授と討議する機会に恵まれ、当教授の紹介によりイタリアのジャーナルに出版されました。
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