2005 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団進化過程における衝撃波と乱流磁場による宇宙線の加速
Project/Area Number |
17540219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata Junior College |
Principal Investigator |
大野 寛 山形短期大学, 総合文化学科, 助教授 (70320611)
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Keywords | 宇宙物理 / 天文 / 理論天文学 |
Research Abstract |
銀河団進化過程における粒子加速過程を明らかにする研究を行っている. プラズマ粒子の加速過程では,粒子と共鳴する電磁場の進化も同時に扱うことが重要である.本研究では,プラズマシミュレーションを行うことで粒子と電磁場の進化を同時に扱う. 現在,銀河団の衝突にともなう粒子加速の可能性を探っている.陽子・電子からなる熱的プラズマが衝突する場合に生じるプラズマ現象についてシミュレーション等を用いて調べている.用いているのは,1次元プラズマシミュレーションコードである.途中経過をまとめる. 例えば,衝撃波にともなう粒子加速過程であるサーフィン加速が生じるためには,2流体不安定による静電場の成長が必要である.そこで,プラズマの衝突にともなう2流体不安定について調べてみた.磁場のない(弱い)背景プラズマ中をそれと等温のビームプラズマが音速の3倍程度の相対速度でドリフトする場合,2流体不安定の条件(ドリフト速度が電子熱速度より十分大きい)を満たさず,不安定性は成長しない.不安定性成長のためには,ビームプラズマの温度を1/10程度以下にする,または,ドリフト速度を大きくするということが必要になる.しかし,そのような状況が銀河団で実現するか疑問が残る. 衝突の境界面には,電子と陽子の熱速度の違いから衝突方向の静電場が生じる.波長は,デバイ長程度であり,強度は,背景に生じる電場の2倍程度である.この電場によって,電子は補足され,加速減速を繰り返す.このため分布関数が変形する.しかし,高エネルギー粒子の生成には結びつかない.衝突方向に垂直な弱い磁場を与えた場合,静電場方向の運動の抑制が見られるが,ほぼ同様な結果となる.
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