2007 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団進化過程における衝撃波と乱流磁場による宇宙線の加速
Project/Area Number |
17540219
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Research Institution | Yamagata Junior College |
Principal Investigator |
大野 寛 Yamagata Junior College, 総合文化学科, 准教授 (70320611)
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Keywords | 宇宙物理 / 天文 / 理論天文学 |
Research Abstract |
銀河団進化過程における粒子加速過程を明らかにする研究を行っている. アルヴェン波による粒子加速は,波と粒子の共鳴相互作用によるエネルギー拡散である.前年度は,テスト粒子法を用い,粒子のエネルギ温拡散をシミュレーションし,共鳴波数より低波数の波が加速に影響することを確認した.本年度は,以下の研究を行い,この間題について更に調べた. (1)低波数アルヴェン波を考慮したシミュレーションでは,計算時間内にエネルギー拡散が定常に達せず,拡散係数の時間的変動が見られた.また,拡散係数はアルヴェン波の初期位相に依ることがわかった.これらは,低波数アルヴェン波は粒子との相互作用に時間がかかり,計算時間内では十分緩和しないためと考えられる. 一方で,計算時間を長くすると,加速により粒子の平均エネルギーが大きく変化してくるため,あるエネルギーを持つ粒子の拡散係数を評価することが困難になる.目安となる拡散係数を評価するためには,初期位相を変えたシミュレーションを多数行い統計的に評価する必要があり,今後の課題である. (2)エネルギー空間における分布関数の進化について低波数アルヴェン波の影響を調べた.結果として以下の事がわかった,1)共鳴波数域にのみアルヴェン波がある場合は,準線形理論に基づく分布関数の進化と一致する.2)低波数アルヴェン波がある場合は,準線形理論に基づく分布関数より高エネルギーの粒子が多く分布する. (3)低波数アルヴェン波が加速に影響する原因を調べた.原因として以下の2つが考えられる,1)アルヴェン波にともなう微小電磁場によるresonance broadening,2)平均磁場に直交する粒子速度ベクトルと磁場ベクトルに位相差がある場合,共鳴波数より低波数の波と粒子が相互作用する.シミュレーションモデルについて前者を調べた所,この効果は効かないことがわかった.一方,後者は有効なことが確認できた.
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Research Products
(2 results)