2008 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団進化過程における衝撃波と乱流磁場による宇宙線の加速
Project/Area Number |
17540219
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Research Institution | Yamagata Junior College |
Principal Investigator |
大野 寛 Yamagata Junior College, 総合文化学科, 准教授 (70320611)
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Keywords | 宇宙物理学 / 天文 / 理論天文学 |
Research Abstract |
銀河団進化過程における粒子加速過程を明らかにする研究を行っている. アルヴェン波による粒子加速は,波と粒子の共鳴相互作用によるエネルギー拡散である.本研究では,テスト粒子シミュレーションを主に用い,加速過程を調べた.本年度は,以下の研究を行った. (1)プラズマ準線形理論によるとエネルギー拡散係数は共鳴波数域に含まれる磁場エネルギーに比例する.共鳴波数域の磁場強度を変化させたシミュレーションを行った結果,拡散係数は磁場エネルギーに比例し準線形理論と一致した.この際,波の初期位相を変えたシミュレーションを多数行い,統計的に拡散係数を評価した.一方,共鳴域の磁場エネルギーを一定に保ち,波数域を低波数にのばし乱流磁場のエネルギーを増やしていった場合,非線形効果により,拡散係数は準線形理論を上回る値を示した.非共鳴波数域の磁場強度が背景磁場程度に強い場合,共鳴域に背景磁場程度の乱流磁場を与えた場合と同程度のエネルギー拡散を示した. (2)銀河団における宇宙線電子のエネルギースペクトルを評価した.共鳴域より低波数のアルヴェン波によるエネルギー拡散係数をシミュレーションから評価し,宇宙線電子スペクトルの進化を計算した.宇宙線電子エネルギースペクトルを加速の有無で比較した所,エネルギー拡散を考慮したモデルでは考慮しないモデルより高エネルギーまで滑らかに分布することがわかった. (3)低波数のアルヴェン波によるピッチ角散乱が衝撃波統計加速に影響する可能性があるのでテスト粒子シミュレーションにより調べた.粒子と共鳴する波数域のみに磁場エネルギーを与えたモデルでは,理論から予想される加速効率と同程度であった.一方,共鳴波数より低波数にもアルヴェン波を与えた場合は,加速効率が理論予想を上回る可能性があることがわかった.
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Research Products
(4 results)