2006 Fiscal Year Annual Research Report
太陽彩層速度場観測望遠鏡の製作とそれを利用した太陽プロミネンスの振動の研究
Project/Area Number |
17540220
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
竹内 彰継 米子工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (50216842)
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Keywords | 太陽 / 彩層 / プロミネンス / 速度場 / 振動・波動現象 / 観測機器 |
Research Abstract |
本研究の目的は市販の光学機器だけを用いて安価に太陽の彩層の速度場を観測する望遠鏡を製作し、それを太陽プロミネンスの振動・波動現象の研究に利用することにある。平成17年度は望遠鏡本体の製作を行い、口径8cm、合成焦点距離364cmの屈折望遠鏡の後にHαフィルタと冷却CCDカメラを取り付けたもの3本を同一赤道儀に同架した太陽彩層速度場観測望遠鏡が完成した。 本望遠鏡のHαフィルタは透過幅0.3Åのファブリペロ型干渉フィルタである。ファブリペロフィルタは温度を変えることにより透過波長帯をずらすことができるので、3本の望遠鏡の設定温度を変えることによりHα線(水素原子が出す輝線)の線中心、短波長側ウィング、長波長側ウイングの光の強度を観測するとHα線のドップラーシフトの2次元情報を得ることができ、速度分布の2次元分布図を作ることができる。しかし、精密な測定のためにはHαフィルタの分光・温度特性の検定を行う必要がある。そこで、平成18年度はまず国立天文台三鷹キャンパスの分光器を利用してHαフィルタの分光・温度特性の検定を行った。その結果、各フィルタの波長λ(Å)-温度T(℃)関係は、 短波長側ウイング用ブイルタ:λ=0.11×(T-70.0)+6562.8(Å)、 線中心用フィルタ:λ=0.11×(T-42.0)+6562.8(Å)、 長波長側ウイング用フィルタ:λ=0.10×(T-18.0)+6562.8(Å)、 であることがわかった。したがって、短波長用、線中心用、長波長用の各フィルタでは温度をそれぞれ65.5℃、42.0℃、23.0℃に設定すると、それぞれHα-0.5Å、Hα±0.0Å、Hα+0.5Åの光を透過することがわかった。 以上の結果を利用して、太陽表面で生じる大規模なジェット現象「サージ」や太陽表面に新しい磁束が浮き上がってくる「浮上磁場領域」の観測を行い、速度分布の2次元分布図(ドップラーグラム)を製作し、所定の性能が得られていることを確かめた。なお、その結果については米子高専研究報告46巻、第12回天体分光研究会で発表している。 平成19年度は太陽プロミネンスの観測データを蓄積・解析し、振動・波動現象の研究を行いたい。
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Research Products
(2 results)