2007 Fiscal Year Annual Research Report
重いクォーコニウム系の理論的解析と基礎物理定数の高精度決定
Project/Area Number |
17540228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隅野 行成 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (80260412)
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Keywords | 摂動QCD / クォーコニウム / QCDポテンシャル / 高次輔正 / リノーマロン |
Research Abstract |
私は昨年度の研究で、摂動QCDポテンシャルの3ループの計算を29個のマスター積分に帰着させた。今年度は、これらのマスター積分を一括して解析的に計算するためのアルゴリズムの開発を行なった。ここでは、次元正則化されたFeynman積分のMellin-Barnes積分表示を使った。次元正則化のパラメーターε→0の極限でpinchする特異性の扱いが最も難しいが、新たな正則化のパラメーターを入れることによって、この難点を回避した。この方法では、アルゴリズムが比較的簡単になるという利点の代償として、解析的な表式に変換する前の多重級数表示における項の数が膨大になる。独自に開発した連立方程式を処理するプログラムを用いて、これを効率的に解析的表式に変換する予定である。この積分計算のアルゴリズムについて、既に簡単な積分に適用しで予備的なテストをして成功している段階である。 また並行して私は、LHC実験でのトップクォーク生成におけるtt束縛状態の効果を調べた。ISRグルーオン放出の効果も含めて定量的に予言を行ない、従来見積もられていたよりも束縛状態の効果が1桁大きいことを示した。Threshold近傍でこれらの効果が、ttinvariant-mass分布に与える影響を調べた。LHCで主要なプロセスとなるgg→ttのcolor-singlet channelを通じて、1S束縛状態のピークが現れることを示した。これらの結果は、LHCでトップの質量を測定する際、またトップを使って測定器のキャリブレーションを行なう際に重要となる。(現在論文を準備中。)
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Research Products
(2 results)