2006 Fiscal Year Annual Research Report
弱束縛核子多体問題への平均場アプローチ-ダイニュートロン相関と集団相関-
Project/Area Number |
17540244
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Keywords | ソフト双極子励起 / ダイニュートロン相関 / 強結合対相関 / Skyrme有効相互作用 / 連続状態QRPA模型 / 軸対称変形HFBコード |
Research Abstract |
1.ソフト双極子励起状態におけるダイニュートロン相関の研究 ダイニュートロン相関を強結合対相関の発現とみなす立場から、中性子過剰不安定核の多重極応答にみられる集団励起を分析した。対相関自由度に伴う集団励起に焦点をあて、対振動や対回転以外の集団励起の可能性をアンダーソン=ボゴリューボブ(AB)モードにも着目しながら分析を行った。ドリップライン近傍中性子過剰核では、強結合対相関に伴って流体力学的ABモード以外に核表面ダイニュートロンモードが出現することが見出され、さらに、後者は現実的対相関強度でもソフト双極子励起として生き残ることを見出した。その最初の成果は国際会議等で発表し、また、論文は現在印刷中である。 2.現実的Skyrme有効相互作用を用いた連続状態QRPA模型と不安定核の四重極励起の研究 新しく定式化したSkyrme連続状態QRPA模型の改善と検証を進めた。速度依存相互作用項の扱いを改善し、同時に計算コードの改良さらにデバッグにより、この模型を完成させることができた。0およびCaの中性子過剰同位体の双極子および4重極励起の記述に適用し、遷移強度が満たすべきエネルギー加重和則をほぼ100%満たすことを見出しし、この模型の完成を確認した。従来の連続状態QRPA模型で採用された近似との比較も行い、この模型がGDRエネルギーなどで定量的に明白な改善をもたらすことも見出した。成果は研究集会等で発表し、論文は現在執筆中である。 3.円筒座標表示による軸対称変形ハートレー=フォック=ボゴリューボブ計算による変形不安定核の研究 軸対称変形ハートレー=フォック=ボゴリューボブ計算コードにおける誤差分析などを進め、このコードを完成させた。平行して中性子過剰Cr同位体にみられる新変形領域発現の機構を、中性子一粒子軌道に現れる変形シェルギャップおよびSkyrme相互作用依存性の観点から分析した。さらに、隣接するFe, Ti同位体を含む分析を行い陽子配置の役割を分析した。成果は研究集会等で発表し、論文は現在執筆中である。
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