2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540247
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 敏男 University of Fukui, 工学研究科, 教授 (80115865)
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Keywords | 原子核の相対論的模型 / 和則 / 巨大共鳴 / 反核子の自由度 |
Research Abstract |
原子核模型は現象論的模型であるために、一般に、実験との比較によりその妥当性を議論することは困難である。そのため、現在、原子核をよく記述する模型に、相対論的模型と非相対論的模型がある。しかも、両者がどのような関係にあるか明白ではない。本研究では、それらの関係を調べ、どちらが現実的な模型であるかを決定することが最終的な目的である。 まず、非相対論的模型にはない相対論的模型に特有の反核子の役割を明らかにするために、模型によらない和則に着目した。平成17年度は、Gamow-Teller和則を議論することによって、原子核を相対論的模型で記述するには、反核子の自由度を無視することはできないことを明確にした。同時に、反核子の自由度のために、ベータ遷移に対する原子核の応答関数には、多体系固有の発散が生じ、繰り込みをしなければならないことを示し、繰り込む手法の開発を行った。平成18年度は、Gamow-Teller和則やべータ遷移の応答関数における反核子の役割が、他の和則、他の応答関数においても現れるかどうかを調べた。平成19年度は、この研究を継続し、例えば巨大共鳴状態に関する応答関数等でも、相対論的模型では反核子の自由度を無視できない例があることを突き止めた。もし、反核子が、べータ遷移の応答関数の場合と同じようなはたらきを一般的にしているならば、これまで長い間世界中で行われてきた、反核子の自由度を無視した相対論的模型による多くの計算は、意味のないものになる。引き続き、相対論的模型における反核子の役割を調べる計画である。
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