2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540247
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 敏男 University of Fukui, 大学院・工学研究科, 教授 (80115865)
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Keywords | 理論核物理 / 相対論的模型 / 反核子 / 和側 / 巨大共鳴 |
Research Abstract |
原子核は強い相互作用をする多体系であるために、その記述は現象論的段階を超えていない。このことを反映して、現在原子核をよく記述する模型として、非相対論的模型と相対論的模型が広く使われている。ところが、これらの間には基本的な問題がある。 1. 両者には、原子核の理解において基本的な違いがあり、相対論的模型では、相対論的効果が原子核の説明に本質的なはたらきをし、その非相対論的極限で、非相対論的模型に帰着しない。 2. 一方、相対論的模型は原子核をよく説明するが、相対論的模型の本質とも言える反核子の自由度が無視されており、それには正当な理由があるか、不明である。 本研究の目的は2の問題に答え、1の問題の理解を得ることであった。原子核模型は現象論的に構築されているために、基本的な問題を探る上で困難がある。その模型の本質が無視されても、適当なパラメータを導入すれば、原子核現象を説明することが可能であるから、どのような物理がパラメータに含まれているのか不明となる。我々は、そのような状況を避けるために、パラメータによらない和則を探し出し、相対論的模型における反核子の役割を陽に示すことに成功した。その結果、これまで反核子を無視して行なわれてきた多くの相対論的模型の計算が、非物理的であったことを示した。 さらに、これまで米欧で提唱されてきた反核子の自由度を一部取り上げる手法も、非物理的であることを解析的に示し、完全に取り上げる手法を提案した。
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