2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國廣 悌二 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (20153314)
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Keywords | QCD / カイラル相転移 / カラー超伝導 / 前駆現象 / クォークの準粒子描像 / 相対論的散逸流体力学 / くりこみ群法 |
Research Abstract |
(1)有限温度のクォーク物質におけるカラー超伝導の臨界温度直上におけるクォークの準粒子描像がどのように変化するかをカイラル有効模型を用いて調べた。その結果、カラー超伝導の前駆的な対クォーク場のゆらぎに対応する集団モードが「ソフトモード」となり、そのソフトモードとの結合のためクォーク自身がフェルミ液体的な性質を失うことが明らかになった。状態密度の議ギャップ的構造の生成など、クォークスペクトルの異常な振る舞いがクォークとソフトモードとの「共鳴散乱」による順位反発として理解できることを示した。 (2)上記の考察をQCDの他の相転移に適用し、カイラル相転移における臨界温度直上でのクォークの性質についても考察した。カイラル相転移が2次相転移になる場合には、カイラルソフトモードとクォークの結合のために、クォークのスペクトルがフェルミ液体的なものから大きく変更され、元の単一のピークが分裂して3つのピークを持つ構造を持つようになることを明らかにした。この新たなスペクトル構造は熱的に励起している反クォークのホールとソフトモードそしてクォークとの「共鳴散乱」によるものとして理解可能であることを示した。さらに、カラー超伝導の場合との差異は、両者のソフトモードの性質の違い、すなわち、カラー超伝導の揚合は拡散モード、カイラル相転移の場合は振動モードという違い、に帰せられることが分かった。 (3)臨界点付近では、系の散逸効果は大きく、重イオン衝突による解析においては(相対論的)な散逸流体方程式を用いなければならない。非相対論的の場合はナビエ-ストークス方程式として確立しているが、相対論的の場合は必ずしも確立しているとは言い難い。また、熱あるいは化学凍結点近傍では流体方程式ではなく運動学的な方程式が使われるべきであり、両者を自然につなぐ理論が望まれる。我々は、「くりこみ群法」にもとづき、相対論的ボルツマン方程式の縮約として散逸を含む相対論的流体方程式の導出を試み、成功した。現在、現象論的ないくつかの方程式との関連を解明しつつあるところである。
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Research Products
(6 results)