2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ理論と量子輸送現象における位相的な励起の研究
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17540253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
静谷 謙一 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (50154216)
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Keywords | 位相励起 / 量子異常 / 超対称性 / ゲージ理論 / 量子輸送現象 / 量子ホール効果 / グラフェン |
Research Abstract |
二次元ホール電子系で位相的なスピン励起が観測されていることに見るように、量子力学的な輸送現象にはソリトンや渦糸のような位相的な励起が現れ、主要な役割を演じることが多い。他方、素粒子論においても位相励起は重要な研究対象であり、特に弦理論の進展の中では様々な次元の位相的な励起を自在に取り扱うようになってきた。このような状況を踏まえて、研究代表者は平成19年度には、特異な量子ホール効果が観測されている新電子系の物性をゲージ場の位相的な特質と量子異常の観点から研究した。その内容は以下の通りである。 近年グラフェン(graphene)と呼ばれる炭素系2次元物質に実験・理論両面から強い関心が向けられている。グラフェン中の電子は質量ゼロのディラック粒子のように振る舞うという著しい特徴をもつ。グラフェンは言わば"相対論的"な物性系であり、場の理論の観点からも極めて興味深い。 1、研究代表者はまず場の理論に固有な粒子・反粒子描像や量子異常の観点から、磁場中のグラフェンの電磁応答を考察し、グラフェンが特異な誘電体であることを指摘する論文を発表した。 2、続いて、観測量である静的構造因子を吟味して、グラフェンが通常の2次元電子系とは本質的に異なる短波長の電子相関をもつこと、そしてこれが"相対論的"な効果であることを指摘する論文を発表した。 3、さらにグラフェンの2層系の電磁応答を考察し、一層系と類似した特性を見いだすとともに、2層系には殆ど縮退した特徴的なゼロモードランダウ準位が出現すること、そしてこの準位の分離幅が外電場、またはホール電流を用いて制御できるという著しい特性をもつことを指摘した。
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Research Products
(5 results)