2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二宮 正夫 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80211176)
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Keywords | 量子重力 / 超弦理論 / 非摂動的研究 / 弦の場の理論 / 弦の宇宙論 |
Research Abstract |
平成19年度の本研究において研究代表者の二宮は、主としてホルガー・B.ニールセン博士(デンマーク王国伯爵、ニールス・ボーア研究所教授)と共同で、素粒子論的宇宙論と統計力学の第2法則を統一的に記述する理論を構成するために、これらの背後に存在すると予想される基本法則とそれから導かれる物理的結論を詳細に分析した。実際、本年度は、CERN(ヨーロッパ中央原子核研究所)において2008年秋に開始予定のLHC(Large Hadron Collider)実験において新しい効果が観測可能か否かを理論的に検討した。また超弦の場の理論を構成するために、その基礎となるボソン場の負エネルギー状態の海の構成、定式化、性質の解明を実行した。このボソン場の負エネルギー状態の海が構成できるか、という問題は、場の量子論がDiracによって1930年代初頭に構築された当初からの課題として今日まで難問として存在している。Diracはフェルミオンに対し負エネルギー状態の海を構成することにより、反電子つまり陽電子の存在を予言した。一方ボソンに対しては、これまで負エネルギー状態の海を構成できたことはなく、何故、ボソンとフェルミオンに対してDirac流の第2量子化の方法が同等に出来ないのかがミステリーであった。本研究代表者とホルガー・B.ニールセン氏がボソンの負のエネルギー状態をつくる一つの方法をはじめて提唱した。これによっていくつかの物理現象の物理的解釈が可能となったと信じる。更にこの理論を用いて、重力場があるときのコンフォーマルアノマリーの新しい導出法を提出した。ボソンの第2量子化の新しい定式化を用いて、現在、超弦理論の光錐ゲージを用いない、共変な第2量子化の研究、弦の場の理論の構成を遂行中である。分担者の川合は、彼自身が提唱した、超弦理論の非摂動的定式化の最も有力なモデルである行列理論をさらに深化させ質量のない場に対する新しい定式化を進展させた。
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