2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540256
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50190799)
|
Keywords | ベータ崩壊 / スピン偏極 / ベータ遅発中性子崩壊 / 娘核の準位 / スピン・パリティ / 中性子散乱 |
Research Abstract |
スピン偏極した^<11>Liのβ遅発中性子およびガンマ崩壊を、ベータ線の非対称度と同時に計測することによって、娘核^<11>Beの励起状態の励起エネルギー、スピン・パリティ、中性子崩壊経路、崩壊強度を決定するという実験がカナダ国立素粒子原子核研究所TRIIUMFの不安定核ビーム施設ISACにおいて進行中である。2002年夏および2004年夏に行った実験によって、^<11>Beの励起状態のうち7つの状態のスピン・パリティを初めて決定することが出来た。励起エネルギーとスピン・パリティ、およびβ遷移強度、中性子スペクトロスコピック・ファクターを、第一原理に基づく理論計算(反対称化分子動力学理論)と比較を行い、11Beではアルファクラスター2つが良く発達した回転帯構造とアルファクラスターが崩れた構造が出現していることが明らかとなった。これらの結果はPhysics Letters誌に掲載された。 2005年には、ビーム強度を10倍に増強した実験を行う予定であったが、加速器が不調であったため、実験が延期された。そこで、実験に先立ち、中性子検出器の応答関数、特に検出器に入射する前に実験装置を構成する様々な物質によって散乱される中性子の影響を見積もるために、詳細なシミュレーション計算を行った。シミュレーションは2種類の計算コードを用いた。一つは低エネルギー中性子検出器の応答に適した、中性子輸送計算コードMNCPに散乱断面積データを組み込み、可能な限り精密な計算を行った。もう一つは高エネルギー物理学で多用されているGEANT4に同じく断面積データーを組み込み、高エネルギー中性子に対する応答関数を求めた。これらの結果を用いて、2004年のデータを再解析し、低エネルギー中性子崩壊ピークを同定し、^<11>Beの励起状態のスピン・パリティを決定することに成功した。さらに未知の中性子崩壊経路を発見することが出来た。以上の結果をまとめた投稿論文を準備中である。これらのシミュレーション結果は、2006年に予定されている実験データの解析に用いる予定である。
|
Research Products
(1 results)