2005 Fiscal Year Annual Research Report
半古典的歪曲波法による中間子生成反応の記述と素過程の核媒質効果
Project/Area Number |
17540263
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
河野 通郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40234710)
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Keywords | ハドロン物理 / 半古典的歪曲波近似 / 包括反応スペクトル / Σハイペロン / ΣN相互作用 / Wigner変換 / η中間子 / 核媒質効果 |
Research Abstract |
π中間子、K中間子そして光子を原子核に入射させて得られる中間子生成の強度の解析を通じて原子核中のハドロンの性質を明らかにするためには、標的原子核の適切な記述、入射ハドロンおよび終状態の波動関数の記述、多体相関・多段階過程の寄与の考慮、そして原子核内の核子の運動を考慮した素過程の重心系への移行、などを適切に扱った解析を行わなければならない。これまでの研究で私は、Σハイペロンが生成される(π,K)包括反応スペクトルの記述として半古典的歪曲波法を開発し、その有効性を確かめてきたが、今年度の研究で、従来行っていた標的核に対する局所フェルミガス近似ではなく、波動関数のWigner変換を用いた正確な記述法を用いる方法を確立した。この方法で、軽い核から重い核までの実験データーに対応する計算を行い、Σハイペロンの一体ポテンシャルのアイソスピン依存性について知見をえた。この依存性は2体ΣN相互作用のアイソスピン依存性を反映しているから、不定性の大きいストレンジバリオン間の相互作用について示唆を与える。 新しい対象として、(γ,η)スペクトルの記述に半古典的歪曲波法を適用する拡張を行った。(π,K)反応とは異なる過程に対しても定量的に実験と比較ができる結果が得られることが明らかになり、半古典的歪曲波法の有効性をあらためて検証することができた。実験データーを説明するためには、η中間子の核内ポテンシャルは弱い引力であることが望ましいという知見が得られたが、この結果はη中間子が強く結合する中間状態のS_<11>共鳴が核内でどのように振舞うかについての情報を与える。(γ,η)の素過程の模型の検討とそれに対する核媒質効果の研究という次の課題へ進む足がかりが得られ、電子散乱によるハイペロン生成やその他様々なバリオン励起状態の生成過程の記述に適用する展望も開けた。
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Research Products
(1 results)