2008 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク相関を考慮した模型によるペンタクォーク及び中間子-バリオン散乱の研究
Project/Area Number |
17540264
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
清水 清孝 Sophia University, 理工学部, 教授 (00143363)
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Keywords | A(1405) / バリオンーメソン散乱 / Roper共鳴 / クォークモデル / 連続状態に埋もれた束縛状態 |
Research Abstract |
今年度も、 SU(3)の8重項のバリオンと8重項の擬スカラーメソンのS波及びP波の散乱問題にクォーク模型で予想される連続状態中での束縛状態を考慮した研究を行った。具体的にはS波散乱問題の一つとしてΛ(1405)の状態をバリオンとメソン散乱の共鳴状態として記述する研究を行った。この系では、8重項バリオンと擬スカラーメソンだけでも、強く結合するチャンネルとして、 Σπ、 NK-bar、 Λη、 ΞKなどが存在し結合チャンネルの散乱問題において、所謂Feshbach共鳴と呼ばれる複雑な振る舞いを示す。バリオン・メソン間の相互作用として、カイラルLagrangianから得られるものを使った計算では、Σπ散乱でのMass Spectrumで閾値より70MeV位のところにピークが現れる。我々は、類似の相互作用を用いて同様の計算を遂行し、結果はバリオンやメソンのサイズに対応するパラメーターに強く依存することを示した。通常考えられているサイズに対応するForm Factorを使うと共鳴を再現することは難しいが、さらに3クォークから作られる状態と仮定した「連続状態に埋もれた束縛状態」との結合まで考慮した計算を行うことで、同じようにΛ(1405)の共鳴状態を説明できることを示した。上記のバリオン・メソンのS波散乱問題に対して、バリオンの記述で成功を収めているクォーク・クラスターモデルから得られるグルオン交換相互作用と、閉じ込めとインスタントン誘起相互作用(III)を用いた計算も行った。この模型ではNK-barの引力が前述の模型と異なり弱いために、バリオン・メソン系だけの結合チャンネル計算ではΛ(1405)のピークは生じない。しかし、バリオン・メソン系と結合する3クォーク状態を導入すると、同様のピークを生じることが分かった。P波のRoper共鳴に対しても同様に計算を遂行中である。成果はPhysical Review Cに近々載る予定である。
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Research Products
(1 results)