2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピンに依存する電子間有効相互作用を用いた量子ドットの研究
Project/Area Number |
17540265
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高柳 和雄 上智大学, 理工学部, 教授 (30183859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
吉澤 香奈子 上智大学, 理工学部, 助手 (70439339)
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Keywords | 応答関数 / スピン密度波 / 量子相転移 / 有効相互作用 |
Research Abstract |
今年度は、研究の目的である、(1)電子の媒質中での多重散乱をあらわす電子間有効相互作用(G-行列)、および(2)量子ドットの応答関数、の2方向に対して次のような研究実績を上げることができた。 (1):電子系においては、クーロン力が長距離力であるために、2次以上の多重散乱による部分を、近距離相関を表すG-行列と定義し、これと(1次の)クーロンポテンシャルを同時に扱っていく必要がある。今年度は、G-行列を、相互作用する2電子のスピンの方向、及び媒質中のスピン分極、に依存する形のSkyrme型有効相互作用として使いやすい形で表した。 (2):量子ドットは2次元の有限個の電子からなる系であり、その基底状態はHF、HFB、正確な対角化、量子モンテカルロなどの手法で調べられている。その結果、量子ドットの基底状態は、(特に磁場がかかっている場合)系を記述するパラメータ空間でスピン密度波などの様々な相を示すことがわかってきている。これらの相境界は、各々の相でのエネルギーを比較することにより決められているが、我々は、この(2次の量子相転移の)相境界を応答関数のソフト化の観点から調べている。今年度は、磁場がかかっている2次元のバルクの電子系について応答関数を計算し、その励起エネルギーがゼロになる(ソフト化)点、すなわち2次の量子相転移点を調べた。その結果、各々の相でのエネルギーを比較する手法と、応答関数のソフト化を調べる手法が、矛盾無く相転移を記述するためには、どのような理論的枠組みが必要であるかを明らかにした。現在は、この計算を精密化し、更に有限系である量子ドットに応用する方向で研究を進めている。
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