2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540265
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高柳 和雄 Sophia University, 理工学部, 教授 (30183859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
吉澤 香奈子 上智大学, 理工学部, 助教 (70439339)
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Keywords | 応答関数 / スピン密度波 / 量子相転移 / 有効相互作用 / 近距離相関 / 遠距離相関 |
Research Abstract |
今年度は、研究の目的である、(1)電子の媒質中での多重散乱をあらわす電子間有効相互作用(G-行列)、および(2)量子ドットの応答関数、の2方向に対して次のような研究実績を上げることができた。(1):電子系においては、クーロンカが長距離力であるために、2次以上の多重散乱による部分を、近距離相関を表すG-行列と定義し、これと(1次の)クーロンポテンシャルを同時に扱っていく必要がある。G-行列は、相互作用する2電子のスピンの方向、及び媒質中のスピン分極、に依存する形のSkyrme型有効相互作用として使いやすい形で表してあるが、これを基にして密度汎関数法が使えるよう、エネルギー汎関数の基本的な部分を構築した。この方向での研究は、BHFでの計算と、G行列を基にした密度汎関数法の計算の比較が行なえるようにするものであり、理論的に非常に重要であると考える。(2): 量子ドットは2次元電子系のサイズを小さくしていったものであるが、元の2次元電子系の強磁場下での相転移を平均場の枠組みで調べることに成功した。まず理論的には、応答関数が示す系の不安定性と、Hartree-Fock理論での基底状態の安定性を統一的に見る枠組みを完成させている。次に、数値計算により、常磁性から強磁性の相への転移の途中にスパイラル型のスピン密度波状態が基底状態になることを示した。これは、ソ=2の量子ホール系の常磁性相の応答関数が、密度を低くしていくとrs〜2で不安定性を示すという、よく知られた理論計算結果と対応しており、基底状態と励起状態を矛盾なく扱う理論的枠組みの有効性を示す重要な結果であると考えられる。また、この理論的枠組みを使って、逆方向の強磁性相から常磁性相への転移についても興味ある結果が出てきているところである。
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Research Products
(3 results)