2006 Fiscal Year Annual Research Report
バリオン間二体相互作用の統一的模型構築に関する研究
Project/Area Number |
17540272
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
永田 純一 広島国際学院大学, 情報学部, 准教授 (70330959)
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Keywords | 素粒子論 / 原子核理論 / 計算物理 |
Research Abstract |
平成18年度では、前年度に明らかとなった計算コードの改良と、未計算の散乱系に対する新規のプログラム開発が主な計画であった。ここで、その計算コードの最適化は、利用するスーパーコンピュータに依存するのであるが本研究においては、SR-11000(広島大学)、SX-5(大阪大学)への最適化を行った。その結果、その計算処理量において約4倍程度の処理能力向上を達成した。さらに、高エネルギー加速器研究機構に設置されているSR-11000を利用した研究プロジェクト「KEK大型シミュレーション研究」に本研究の一部が採択された。これら計算処理能力の向上により、前年度に比し、より大規模な計算結果を得ることが可能になり、今年度は新しくπK散乱に関する散乱長に関する大規模数値計算実験を行った。これは、バリオン二体系に比し、作成される計算コードが少量で良く、計算コードの最適化に適していた為である。また、バリオン間二体相互作用模型構築において、K中間子が関与する系は特に重要なものであり、K中間子が関与する散乱系が現在特に注目されている。我々は、アイソスピン(1)=1/2及び3/2の散乱過程に関する散乱長の結果を得た。予備的結果ではあるが、アイソスピンの違いにより伝播関数が異なる時間発展を示すことが明らかとなった。得られた結果等に関して、2006年7月にSao Paulo(Brazil)で開催されたInternational Conference on Few-Body Problems in Physicsにて英語で約20分の講演を行った。また、2007年3月に岡山理科大学で開かれた-学術フロンティア-「粒子線と物質の相互作用に関するシミュレーション科学の新たなる展開を目指す総合研究」研究会において、「Lattice Study of Hadron Scattering」の題目にて英語で25分の講演を行った。今年度得られた結果をもとに、次年度以降ハイペロンを含めたバリオン二体系へのプログラムの拡張を行いたい。
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