2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540276
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 直 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (70222057)
|
Keywords | 宇宙物理 / 宇宙論 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 構造形成 / 天体形成 |
Research Abstract |
本年度は、準解析的銀河形成モデルを用いて、宇宙の初期天体形成過程の研究と、その宇宙マイクロ波背景放射に及ぼす影響をまず調べた。最新のWMAP衛星の結果は、これまで考えられていたよりも、初期天体形成が遅くなるというものであった。その結果と、冷たいダークマターモデルを含む銀河形成モデルからの理論的帰結を比べると非常によい一致を示すことがわかった。また最新の銀河形成モデルを用いたことで、最も現実的と思われる再加熱過程を得ることに成功した。さらに、その得られた結果から次世代宇宙マイクロ波背景放射探査衛星であるPLANCKでの観測の予想を得た。 続いて、オランダが主導する21cm吸収線の新しい観測計画LOFARプロジェクトと関係して、ミニクエーサーと呼ばれるクエーサーに比べれば小さなブラックホール天体の形成過程、そこからの紫外線放射、さらにはイオン化した領域の成長を見積もった。イオン化した領域の成長は、逆に見れば中性領域が浸食されていく過程に他ならない。以上のことから、現在非常に期待されている、中性水素の量に対する初期宇宙における観測量である21cm吸収線への影響を解析した。ここでは、とりわけ、中性水素ガスの熱化の過程について詳しく調べた。具体的には、熱化の過程に関する単純な解析的モデルを提唱し、そのモデルを放射輸送を含む数値計算の結果と比較しその有用性について示すことに成功した。 これ以外にも、マドリッドで行われたALMAプロジェクトのサイエンスミーティングでの招待講演に向けて、ALMAプロジェクトによって宇宙の再熱化過程・最初期の天体形成について何が明らかにされうるのかを調べ、報告した。
|
Research Products
(2 results)